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韓国政府、対北朝鮮ビラ散布禁止で事態の悪化を防ぐ見込み

登録:2020-06-18 08:48 修正:2020-06-18 09:06
北朝鮮が今月16日午後2時50分ごろ、南北共同連絡事務所を爆破したと「朝鮮中央通信」が17日に報じた//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が16日、開城(ケソン)工業団地内の南北共同連絡事務所を爆破したのに続き、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に激しい非難を浴びせたことで、対応のレベルと方法をめぐり韓国政府当局の悩みが深まっている。

 政府の今後の対応は、二つに分かれて進められる可能性が高い。まずはこれ以上の事態悪化を防ぐ応急措置だ。キム・ヨジョン朝鮮労働党中央委員会第1副部長の17日の談話を詳しく読んでみると、これについてのヒントを得ることができる。キム第1副部長は「(このように)厳しい事態」をもたらした原因を「反共和国ビラ散布の妄動」に求め、「それに対する謝罪・反省・再発防止に対する確固たる約束」に言及した。

 しかし、文在寅大統領を直接狙ったキム第1副部長の発言があまりにも激しく、大統領府や政府レベルで「遺憾表明」など北朝鮮を満足させられる措置を出すことが難しい状況になった。ただし、北朝鮮へのビラ散布を阻止する再発防止努力は実行できる。現在、国会には境界地域支援特別法の改正案が2件提出されている。京畿道と仁川市(インチョンシ)もこの日、自主的に北朝鮮との境界地域を「危険区域」などに設定し、北朝鮮へのビラ散布者の立ち入りを禁止する行政命令を下した。

 次に、事態を好転させる対応策だ。これに関しては、直ちにこれといった解決策を見つけられないというのが厳しい現実だ。北朝鮮が、韓国が容易に解決策を見出せない根本的な要求をしているからだ。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は2019年1月の新年の辞で、開城(ケソン)工業団地・金剛山(クムガンサン)観光の再開と韓米合同軍事演習の中止などを要求した。しかし昨年2月28日、ハノイで行われた2回目の朝米首脳会談が物別れに終わったことで、このための環境が整わなかった。文在寅大統領もこれを意識して、15日の6・15共同宣言20周年記念演説で、「まだ南と北の意志だけでは思い切り走っていける状況ではない」と述べた。ところが、結果は「卑屈で屈従的な相手とこれ以上北南関係を論じることはできない」というキム第1副部長の対話中断宣言だった。

 大統領府も、当分は南北間で冷却期間が続くものと見ている。大統領府の主要関係者は「ビラ問題については韓国側にできる部分があったが、今日のキム第1副部長の談話は度が過ぎた。当面、こうした局面が続く可能性がある」と述べた。チョン・ウクシク平和ネットワーク代表は、「昨年から北朝鮮が韓国に対して“憎悪”を表わし始めた。対話の提案も対決姿勢も、いずれも実効がないと思われるだけに、当面は冷却期間を持ってじっくりと状況を変える準備をしなければならないようだ」と述べた。

キル・ユンヒョン、ソン・ヨンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/949869.html韓国語原文入力:20-06-1802:30
訳H.J

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