ソウル銅雀区(トンジャクク)のある高校の2年生Aさん(17)は、校内のボランティアサークルの部長を務め、2週間に1回は療養所でボランティア活動をし、社会福祉士の夢を育んでいる青少年だ。社会奉仕の時間を単位認定してもらうために「社会福祉士ボランティア認証管理」ホームページにアクセスしたAさんは、自分がホームページに加入できないことを知った。韓国で生まれ育ったものの、韓国国籍を持つことはおろか外国人登録すらできない「未登録移住児童」だからだ。Aさんの両親は韓国で出会って結婚した未登録滞在外国人だ。
高校を卒業すればAさんの「強制出国猶予期間」は終わる。未登録移住児童に対する強制退去は「不法滞在児童の学習権支援方策」指針により、高校卒業まで猶予されるに過ぎない。Aさんは不慣れな両親の故郷に強制出国させられる危機に瀕している。Aさんがその国について知っているのは「テレビで見聞きしたこと」だけ。その国の言葉を学ぶ機会もなかったし、両親以外にその国の人に会ったこともなかった。「その国に帰らねばならないのなら、いっそ高いところから身を投げる」というほど、Aさんの強制出国に対する恐怖心は強い。
国家人権委員会(人権委)は6日、Aさんのような長期滞在未登録移住児童に対する無条件の強制退去を中止し、彼らが引き続き国内への滞在を希望する場合は、滞在資格を申請して審査を受けられる制度を設けるよう法務部に勧告した。人権委は「未登録移住児童は本人の意志とは関係なく大韓民国に生まれ、未登録の状態で成長したに過ぎないのに、大韓民国から滞在資格が与えられる機会さえなかった」と判断したと明らかにした。