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日本、事前協議なしに韓国からの入国者の隔離を発表…韓日関係に大きな悪材料に

登録:2020-03-06 06:16 修正:2020-03-07 08:13
日本政府が新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐとして、韓国から入国する人たちに対する隔離方針を発表した5日、金浦国際空港の国際線庁舎が閑散としている=資料写真//ハンギョレ新聞社

 日本が5日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を理由に、韓国から入国する人を14日間事実上隔離することに決定したことで、緊張が続いてきた韓日関係全般にかなりの波紋が予想される。韓国人が最も多く訪問する国である日本が、韓国政府と事前に十分な協議もせず、入国制限という超強硬カードを取り出したためだ。

 これまでCOVID-19の感染拡大防止に向け、積極的な動きを見せなかった日本が同日、突然韓国と中国に対して入国制限措置を取ったのは、東京五輪開催の取り消しがささやかれるなど、危機に直面した安倍晋三首相の“苦肉の策”と見られている。日本では横浜に停泊したクルーズ船内におけるCOVID-19の感染拡大への消極的な対処に続き、「検査難民」という言葉がはやるほど、ウイルス検査がきちんと行われていないなど、理解し難い政府の措置に対して国内外で批判が高まったが、今回の措置で局面転換を図るのではないかという分析だ。特に、安倍首相が「復興五輪」を掲げ、政治的命運をかけて推進してきた東京五輪が延期または中止になるかもしれないという危機感から、十分に準備もなく性急に決定したという批判もある。日本が果して韓国と中国からの入国者を2週間隔離できる指定施設を確保しているのかも疑問だ。

 日本は、韓国にも大きな打撃を与える重要な決定を下す際、事前に韓国政府と十分な協議を行わなかったものと見られる。同日午後3時に日本のマスコミを通じて初めて報道が出ており、外交部当局者は「日本政府からこれと関連して公式通知を受けたことがない」と述べた。外交部は同日夜、在韓日本大使館の相馬弘尚総括公使を呼んで正確な説明を求めており、6日に冨田浩司大使を呼び、厳重に抗議する予定だ。

 今回の突然の措置による韓国の被害は少なくないものと予想される。韓日の対立による不買運動により1年の間で26%が減ったものの、昨年は韓国人558万4600人が日本を訪れた。観光だけでなく、学業やビジネス、知人訪問など人的交流が多く、今回の措置で混乱が増すものと見られる。日本の新学期は4月から始まるため、多くの韓国人留学生が韓国に止まっている可能性が高く、被害が大きくならざるを得ない。日本内の韓国人留学生は約1万7千人だ。

 現在、COVID-19で韓国からの入国を制限している国は99カ国と地域だが、日本まで加わったことで、韓国の負担も大きくなった。これまで韓国に対する入国制限は主に防疫能力が十分ではない国々を中心に行われていたが、医療・防疫能力を備えた日本が「2週間別途施設で待機」を決定したことで、韓国に対する入国制限措置を自粛してきた他の諸国にも影響を及ぼすことも懸念される。韓国への追加入国強化措置の可能性に触れた米国がどう出るかなど、韓国政府の悩みは一層深まった。

 外交部はこれまで、カン・ギョンファ長官が各国の外相たちに過度な対応を控えるよう電話で要請すると共に、駐韓大使館対象の説明会や大使招致など、入国制限の拡大を食い止めるため、外交力を総動員してきた。このような状況で、5日オーストラリア(豪州)に続き、日本まで入国制限に乗り出したことで、韓国の外交力に対する批判の声も高まっている。

 日本の今回の決定は、強制動員被害者問題や日本の対韓国輸出規制などの懸案をめぐり議論が続いている韓日関係全般においても大きな悪材料だ。ただでさえ日本に対する国民感情がよくないうえ、全国がCOVID-19で苦しんでいる中、日本が入国制限決定を下したことに対する反日感情が高まる可能性が高い。

 日本に対する韓国政府の入国関連措置も強化されるかも注目される。日本国内のCOVID-19感染者が急速に増加しているうえ、検査もきちんと行われていないという批判が高まる中、韓国は福島原発周辺(撤収勧告)を除いて韓国人の日本への旅行について、事実上いかなる制約も設けていない。COVID-19の感染拡大を受け、先月29日、日本全域に「1段階(旅行留意)」旅行警報を発令した状態だ。

キム・ソヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/931367.html韓国語原文入力:2020-03-06 02:13
訳H.J

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