韓日関係の最大争点の一つである日本による強制動員被害者問題を解決するために「韓国・日本共同協議体」を作ろうという提案が被害者側から出た。2018年10月の最高裁(大法院)判決の後、被害者側から解決方案を出したことは今回が初めてだ。韓国政府は「被害者中心主義」の観点でこの問題を解いていく方針であるだけに、韓日交渉にも影響を与えるものと見られる。
最高裁で勝訴し、追加訴訟をしている強制動員被害者訴訟代理人団(弁護士)、支援団体、日本の弁護士たちが6日、ソウルと東京でそれぞれ記者会見を行い、「強制動員問題全体の解決方案を検討するための協議体を提案する」として「韓日両国政府が、協議体の活動を支援し、協議案を尊重しなければならない」と明らかにした。協議体で一定の解決方案が用意されれば「日本企業を相手に進行している現金化(売却)措置を中断するために、被害者の意見を聴き取る手続きも検討することができる」と付け加えた。
新日鉄住金(現、日本製鉄)、三菱重工業などに強制動員された被害者訴訟代理人団と支援団体は、ソウル市瑞草区(ソチョグ)の民主社会のための弁護士会(民弁)大会議室で記者会見を行い、「最高裁確定判決から1年2カ月が過ぎたが、問題が解決されていない」とし「昨年から韓国と日本を行き来して解決方法作りのために議論してきており、今回韓日で同時発表することになった」と説明した。彼らは、日本政府と企業が強制動員の事実を認め謝罪することが問題解決の出発点という原則を明確にした。また「韓国政府も責任と役割をつくさなければならず、1965年の韓日請求権協定の韓国側受恵企業も解決に乗り出さなければならない」と指摘した。このような理由から、協議体には被害者の代理人、支援団体、韓日両国の弁護士・学者・経済界・政界などが含まれなければならないと話した。被害者訴訟代理人のイム・ジェソン弁護士(法務法人ヘマル)は「韓国の外交部、ムン・ヒサン案など今まで案はすべて韓国で提案されたものだったが、今回は韓日両国の法律代理人と市民団体が額を突き合わせて出した案だという点が重要だ」と話した。
この日、東京で同時に開かれた記者会見で、 川上詩朗弁護士も「ムン・ヒサン国会議長の案を含めさまざまな案が提示されたが、すべてお金を誰が出すかに集中していた。だが、重要なのは被害者個人の人権の問題」だとして、真の問題解決のためには協議体の創設が必要だという要請文を発表した。記者会見には、1992年に日本で進行された日本軍慰安婦被害者訴訟代理人の山本晴太弁護士、「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」の寺尾光身共同代表などが参加した。
このように、強制動員の被害者側が積極的に協議体の用意を要求して出たことには、現金化措置が招来する波紋も影響を与えた。最高裁の損害賠償判決により差し押さえた日本企業の資産を現金化することは韓日双方にとって負担だ。大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支所は、昨年5月から日本製鉄に対して現金化命令の手続きを踏んでいる。現金化措置がなされれば、日本政府が堂々と報復を公言していて、「歴史問題→経済報復」など韓日関係が極端な方向に突き進むのは避けられない。被害者側の代理人であるイ・サンガプ弁護士(法務法人 共感)は、「現金化になれば韓日の政府と国民がそろって難しい状況になる。この問題を黙って見ていることはできないではないか」と話した。イム・ジェソン弁護士も「現金化を中断するためには、手続きを踏んでいる被害者の個別同意が必要だ」として「協議体を通じて強制動員問題の解決方向がまとまってこそ、被害者に意思を聴くことができそうだ」と強調した。