福島県から出荷される牛肉に対する放射性物質検査が、来年から「全数検査」から「サンプル調査」方式に緩和される見通しとなった。
福島県は牛肉を得るために飼育する「肉牛」について、2011年から行ってきた全数検査を来年以降はサンプル検査に変更する案を示したと、朝日新聞などの日本のマスコミが24日報道した。来年1月にこのような方針を正式に決定する予定だ。やはり全数検査をしてきた福島の近くの岩手、宮城、栃木の3県も、飼育する牛に対する放射性物質汚染度検査を緩和する動きを見せている。
福島県は23日、県の牛飼育農家や流通業者などが参加した検討会議で、放射性物質汚染がひどい「帰還困難地域」を除き、肉牛検査は来年から各農家ごとの年1頭以上のサンプル検査に変更する案を提示した。ただし、乳牛だが屠殺後に肉として流通させる場合は来年以降も放射性物質汚染度の全数調査を行う。
福島第1原発事故の数カ月後の2011年夏、当時の暫定基準値だった1キロ当たり500ベクレル以上の放射能に汚染された牛肉が流通し、波紋が広がった。日本政府が回収して焼却したが、不安は大きかった。これを受け福島と岩手、宮城、栃木の4県は2011年8月から県内の牛に対して放射性物質汚染度の全数検査を行ってきた。日本政府は農家ごとに毎年1頭以上の検査を行うことを条件に牛肉出荷を許可したが、4県はより厳しい独自基準を適用してきた。全数検査で基準値(2012年10月から1キロ当たり100ベクレル)を超える牛肉が出たという報告はない。
福島原発事故から8年が経ち、福島県が行ってきた食品の放射性物質汚染度検査は緩和されつつある。福島県は、これまで行ってきた県内のコメの全数検査方式を、避難区域に指定されていた地域でない地域の場合は来年からサンプル調査方式に切り替える予定だ。