ムン・ヒサン国会議長が、韓日企業の寄付金と国民の自発的な義援金をもとに財団を設立し、強制動員被害者らに慰謝料(慰労金)を支給するという、いわゆる「ムン・ヒサン案」を18日に国会に代表発議した。裁判所で勝訴した日帝強制動員被害者たちと関連市民社会団体は、最高裁の判決を無力化し、70年以上闘ってきた被害者を侮辱するものだとして反発している。
ムン議長が発議した「記憶・和解・未来財団法(財団法)」制定案は、日本企業に対する損害賠償請求訴訟で最高裁の判決を受け、すでに執行力が生じている強制動員被害者や、裁判で勝訴が予想される被害者らを対象に慰謝料を支払うことが柱となっている。被害者が慰謝料を受け取れば、確定判決による強制執行請求権または裁判請求権を放棄したものとみなし、訴訟中の場合は訴訟を放棄しなければならない。現在、訴訟中の被害者は1千人ほど。同法案は、共に民主党のキム・ジンピョ議員ら与野党議員14人が共同発議した。
法案に対しては被害者と関連団体が強く反発し、政府も原則に反するという立場であり、法案が成立するかどうかは不透明だ。来週にも開かれる可能性が高い韓日首脳会議を控え、ムン議長が法案発議を急いだという指摘もある。国会の反応もそれほど肯定的ではない。ムン議長は16日に現役議員一人ひとりに向けて文書で共同発議を要請したが、共同発議者として参加したのはムン議長を除いて13人だけだった。議員たちも世論を意識しているようだ。
最高裁で確定判決を受けた訴訟被害者と団体は、日本の事実認定と謝罪がなければならないという内容の「共同要求案」を作成し、近く発表する予定だ。民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は、「ムン・ヒサン法案は最高裁の判決精神やいかなる歴史的視点もなく、金で被害者を分裂させるという点で非常に深刻だ」と述べた。