億ウォン台の収賄容疑で裁判中だったキム・ハグィ元法務部次官(63)が一審で無罪判決を言い渡された。「別荘での性接待」疑惑は公訴時効期間満了で有罪・無罪の判断すらなされず、検察の「もたつき捜査」で断罪の時期を逃したと指摘されている。
22日、ソウル中央地裁刑事27部(チョン・ゲソン裁判長)は、2006~2008年に建設業者ユン・ジュンチョン氏から1億3千万ウォン(約1200万円)相当の賄賂を受け取った容疑(特定犯罪加重処罰法上の賄賂)などで拘束起訴されたキム元次官に無罪を言い渡した。同日、キム元次官は拘束から190日ぶりにソウル東部拘置所から釈放された。
まず裁判部は、2008年にキム元次官が「ユン氏から性関係の機会の提供を受け続けていたことは認められる」と述べながらも、女性A氏と結んだ性関係が明るみに出るのを恐れて、ユン氏がA氏から受け取るべき店舗保証金1億ウォン(約923万円)を放棄させたという「第3者贈収賄」に対して、証拠不十分などを理由に無罪を言い渡した。裁判所は「検察が提出した証拠だけではユン氏が1億ウォン相当の債務を免除したり、不正な依頼をしたと見なすことはできない」とした。
第3者贈収賄を無罪と判断したことにより、キム元次官が2006年から2008年までに3千万ウォン(約280万円)相当の金品と性接待を受けていたという収賄容疑については公訴時効期間が満了した。1億ウォン未満の収賄は公訴時効が10年であり、裁判所はキム元次官の公訴時効を2018年10月と判断した。検察は2019年6月にキム元次官を起訴したが、性的接待の場所である原州(ウォンジュ)の別荘で撮られた動画に映った人物がキム元次官なのかどうかや有罪・無罪の判断も結局なされなかった。
検察は直ちに控訴を表明した。当時捜査団長を務めていたヨ・ファンソプ大邱地検長は、「職務との関連性を否定した部分や証拠判断の部分について、裁判所の判断は納得しがたい」と述べた。
公訴時効期間の満了などを理由に無罪が宣告されたことについて、「韓国女性の電話」のコ・ミギョン代表は「キム・ハグィ事件の被害者が2013年から(キム・ハグィ元次官と建設業者ユン・ジュンチョン氏の合同強姦に対して)一貫して供述してきたにもかかわらず、検察はその供述を全て無視した。検察が捜査も起訴もまともにしなかった結果」だと批判した。