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[書評]在日朝鮮人のハルモニたちの涙ぐましい「学校勝ち取り」記録

登録:2019-10-18 21:47 修正:2019-10-19 08:05
ハルモニたちの夜間中学校(徐阿貴著、ユ・ラジュ訳、五月の春刊//ハンギョレ新聞社

 1992年6月、産経新聞に「夜間中学校にあふれる生徒たち」という見出しの記事が掲載された。東大阪の長栄中学校の夜間学級生徒が400人を超え、昼間生徒の数を逆転した。そのうち多数が戦争や経済的な理由で義務教育を受けられなかった在日韓国朝鮮人だという内容だった。記事が出ると、昼間生徒の親の抗議が殺到した。夜間学級の生徒のために昼間生徒がサークル活動などで制約を受けているというのが表向きの理由だった。しかしこの名分をひと皮むけば、その中には「朝鮮人蔑視」が含まれていたというのが著者の主張だ。当時、在日朝鮮人は地域社会に静かに吸収されるべきであり、絶対に目立ってはならない存在だった。この記事が彼らの存在を「露にし」、日本人の気分を害したというのだ。

 報道後、行政当局は機敏に動き、その後すぐに長栄中学校から1キロ離れた太平寺中学校に分校が設立された。しかし、179人が三つの教室で勉強しなければならない環境だった。じっとしていても肩が触れ合い、廊下にも机が置かれた。在日朝鮮人たちは声を上げ始めた。もっと勉強したいと。分校ではなく独立した夜間中学校を建ててほしいと。彼らの要求は8年の闘いの末に貫徹された。

 興味深いのは、この闘争の主軸が「中年・高齢の女性」だという点だ。故郷では「女は勉強する必要がない」といって学ぶことができず、日本では家族の世話で学ぶことができず、生涯寂しく生きてきたおばあさんたち。植民地出身、女性、高齢者というアイデンティティのため幾重にも重なった差別と排除の中で、沈黙して暮らしてきたおばあさんたちが、学校を通じて自分の声を取り戻す過程が胸に迫る。

チェ・ユナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/913703.html韓国語原文入力:2019-10-18 20:53
訳C.M

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