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裁判所、71年ぶりに開かれた麗順事件の再審で「犠牲者の名誉取り戻す」

登録:2019-04-30 06:45 修正:2019-04-30 08:35
麗順事件の苦しみを表現した映画『椿』のサンドアートシーン=麗水市提供//ハンギョレ新聞社

 麗順(麗水と順天)事件発生71年ぶりにして罪のない犠牲者の名誉を回復するための再審が開かれた。

 光州(クァンジュ)地裁順天(スンチョン)支院第1刑事部(裁判長キム・ジョンア)は29日、麗順事件当時、討伐軍に銃殺された民間人犠牲者、チャン・ファンボン氏(当時29・鉄道庁職員)やシン・テス氏(当時32・農業)、イ・ギシン氏(当時22・農業)など3人の遺族らが提起した再審の初公判を開いた。

 裁判所は同日、遺族と検察の主張を聞く第1次準備期日を進めた。遺族のチャン・ギョンジャさんは「多くの死が長い間埋もれており、反乱者という汚名を返上することができなかった。早急に名誉を回復してもらいたい」と要求した。検察は「当時の判決文はなく、命令書だけが存在する状況だ。実体的な真実を明らかにするには裁判記録がなければならない」と説明した。

 裁判所は「最高裁(大法院)も麗順事件を民間人が犠牲になった悲劇的な集団虐殺と判断し、これを前提に再審を決定した。犠牲者に対する謝罪や賠償、名誉回復が国の責任であり、裁判所が不十分ではあるがその責務の一部を担わなければならない」と明らかにした。裁判所は今年6月24日、準備期日をもう一度開いた後、正式裁判に入る予定だ。今後、裁判の焦点は拘束と裁判の適法性に当てられるものとみられる。

 チャン氏などは、1948年11月、全羅南道順天から反乱軍を支援したという疑いで討伐軍に逮捕された後、20日ほどたって生木洞やスバク洞の野山などで銃殺された。当時、軍法会議は彼らに内乱と国権紊乱罪を適用して死刑を宣告し、執行した。

 それから62年後の2010年に行われた真実と和解のための過去事整理委員会の調査で、国家暴力被害者の名誉を回復できる糸口が見つかった。過去事整理委は「当時、韓国軍と警察が、順天地域で民間人438人を無理に連行して殺害した。順天地域だけでも2000人が虐殺されたものと推定される」と明らかにした。

 この調査結果を根拠に、チャン氏などの遺族らは2011年10月、再審を請求した。順天地裁と光州高裁は再審を決定したが、検察は抗告・再抗告で対抗した。最高裁は今年3月21日、「裁判所が発行した令状もなく、軍と警察によって違法逮捕・監禁されたことが認められる」とし、再審を決定した。7年5カ月もかかったこの過程で、遺族3人のうち2人が死亡した。もう原告は1人だけになった。

 麗順事件再審対策委員会は同日、裁判所の前で「裁判所は無法地帯だった70年前の歴史を直視しなければならない。人権を徹底的に踏みにじった暴力を審判し、国の品格を立て直してほしい」と求めた。さらに「検察は国民と遺族の前で謝罪し、国会は早急に麗順事件特別法を制定せよ」と求めた。

アン・グァノク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/891972.html韓国語原文入力:2019-04-29 20:55
訳H.J

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