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堕胎罪憲法不合致を歓迎した正義党が提出した初の改正案、女性団体はなぜ反発するのか

登録:2019-04-18 22:20 修正:2019-04-19 08:38
正義党のイ・ジョンミ代表が15日午前、国会政論館で堕胎罪廃止法案発議記者会見をしている=カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社

 憲法裁判所の「堕胎罪」憲法不合致決定以後、初めて発議された正義党の堕胎罪関連刑法改正案に対して女性団体が反発した。

 11日、憲法裁判所が堕胎罪憲法不合致決定を下した直後の15日、イ・ジョンミ正義党代表は「自己堕胎罪」(269条1項)と医師などの「同意堕胎罪」(270条1項)の条項が含まれた刑法27章と母子保健法の改正案を代表発議した。イ代表の発議案は、まず現行刑法27章の「堕胎の罪」を「不同意人工妊娠中絶の罪」に変え、妊婦自身の「自己堕胎罪」と医療スタッフの「同意堕胎罪」の規定を削除するとした。母子保健法改正案では、妊娠14週までは妊婦の要請のみで妊娠中絶を可能にし、14週から22週までは現行法の妊娠中絶許容理由に加えて、妊娠の維持や出産後の養育が難しいという「社会・経済的理由」を追加した。妊娠22週を超える期間の妊娠中絶は「妊娠の持続や出産が保健医学的理由で母体の健康を深刻に害したり害する恐れがある場合」に制限した。正義党は、今回の改正案を発議しながら「女性の自己決定権を前向きに拡大する堕胎罪廃止法案」と自評した。

 だが、女性団体は「妊娠週数により妊娠の中止を制限し懲罰する法案」だとして反発した。母子保健法改正案を含むイ議員の改正案が、妊娠週数により処罰の有無を決める旧時代的フレームに閉じ込められており、女性の自己決定権を制限しているという主張だ。「皆のための堕胎罪廃止共同行動」(共同行動)は、法案発議翌日の16日に声明を出し、「正義党の発議法案は、憲法裁判所の決定にも遥かに至らない法案」とし「何よりも正義党のイ・ジョンミ議員が代表発議した刑法と母子保健法改正案は、相変らず妊娠の中止を法の枠組みにより“制限”し“懲罰”するという点で非常に問題」と指摘した。共同行動は、さらに「妊娠14週を経過した妊娠中止は、胎児の健康、性暴行、近親相姦、社会・経済的困難などを証明し許諾を受けなければならない。妊娠22週以後には“深刻な健康上の危険”以外には妊娠当事者の個人的、社会的脈絡を全く考慮できないよう制約している」と批判した。韓国女性団体連合のパク・ウンジュ活動家は「イ議員が発議した改正案は(妊娠中止ができる)範囲を広げただけで、社会と国家が再び女性の妊娠中止を制約できるようにするものに他ならない。女性のからだと決定を管理して、認めないフレームへ進むもの」と指摘した。

 正義党内の「女性主義者の会」も今回の改正案を批判した。正義党女性主義者の会も16日「私たちはイ議員の法案に反対する。女性たちが今まで戦って得た成果を押しつぶす法案は必要ない」と明らかにした。同会はさらに「週数制限を含む法案は、憲法裁判所の決定文に出てきた『女性の安全性が保証される期間内にも、国家が避けられない場合にのみ堕胎を例外的に許容するならば、妊娠した女性の自己決定権を事実上剥奪する結果になりかねない』という内容より後退したもの」と批判した。

 これに先立って憲法裁判所は、妊娠22週に達する以前までは女性が妊娠の維持と出産の有無を決める自己決定権を行使できると見た。イ・ジョンミ議員室関係者はこれに対して「週数制限を設けてはならないという共同行動側の立場は知っているが、正義党の発議法案が憲法裁判所決定より後退したものという批判はあたらない。今回の憲法裁判所決定でも、妊娠14週、22週のような週数を明示しているし、当時出てきた単純違憲意見こそ(イ・ジョンミ議員が代表発議した)法案構造と最も近い」と反論した。これに先立って、堕胎罪に対して単純違憲意見を出したイ・ソクテ、イ・ウンエ、キム・ギヨン裁判官は「妊娠第1三分期(最後の生理期間の初日から14週頃まで)に適切に実行された堕胎は、臨月分娩以上に安全だ」とも明らかにした。

キム・ミンジェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/890579.html韓国語原文入力:2019-04-18 19:01
訳J.S

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