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元法務次官の特殊強姦は再捜査可能…チャン・ジャヨン事件は隠ぺい疑惑が再捜査の要

登録:2019-03-20 09:14 修正:2019-03-20 11:52
パク・サンギ法務部長官(右)とキム・ブギョム行政安全部長官が19日、政府ソウル庁舎で記者会見を開き、故チャン・ジャヨンさん関連疑惑、キム・ハグィ元法務部次官事件、バーニングサン関連事件に対する徹底した捜査と真相究明の意志を述べている=カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社

■キム・ハグィ、チャン・ジャヨン事件…解かなければならない疑惑は?

 パク・サンギ法務部長官とキム・ブギョム行政安全部長官が19日午前、ソウル世宗路の政府ソウル庁舎で合同記者会見を開き、キム・ハグィ元法務部次官の性接待疑惑、故チャン・ジャヨンさんの性接待リスト事件、「バーニングサン事件」に対する隠ぺい・手抜き捜査疑惑を徹底的に究明すると明らかにした。前日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「検警組織の命運をかけて真実を究明せよ」と指示したところ、すぐに後続対策を明らかにしたのだ。

 特に、パク長官が同日の記者会見で「犯罪事実が明らかになれば直ちに検察捜査に着手する」と明らかにした部分が注目される。5月末まで活動期限が延長された法務部の検察過去事委員会と、その傘下の最高検察庁真相調査団の調査が終わる前でも、再捜査に乗り出す可能性があるという意向を示したものだ。パク長官は「韓国社会の特権層で発生した両事件は、検察と警察などが手抜き捜査を行ったり、真相究明を妨げ隠ぺいした情況が見えるという点で、国民の怒りを買ってきた」とし、「最高検察庁真相調査団は捜査権がないため様々な制約がある。捜査が必要な部分は(直ちに)捜査に切り替える考え」だと強調した。

 実体的な真実究明はもちろん、手抜き捜査疑惑全般に対する再捜査の手順に入り、検察と警察の内外では検察高位職とマスコミ各社のオーナー一家が関与した両事件の捜査過程を改めて見直す一方、捜査の失敗の責任などをめぐる攻防も続いている。

■家宅捜索をしなかったキム・ハグィ事件

被害女性の供述をめぐり、検察「一貫性がない」…警察「供述は一貫」

 キム元次官事件の場合、起訴意見を出した警察と、容疑なしで処分した検察の主張が鮮明に対立しているが、全般的に両捜査機関とも手抜き捜査の疑惑から逃れられない。警察はもちろん、検察もキム元次官の性接待や見返りなどを確認するための携帯電話・住居地への家宅捜索などを行わなかったためだ。キム元次官の調査は、検察の1次捜査当時1回行われただけで、当時、証拠収集や伝達など捜査の過程で大統領府を含めた権力機関が介入した疑惑も依然として解消されていない。

 2013年と2015年、検察がキム元次官の特殊強姦などの容疑を不起訴処分にし、「被害を主張する女性たちが具体的状況についての供述を覆した」という点を主な根拠に挙げたのも問題となっている。警察はいまでも被害女性の供述が比較的一貫していると主張する。キム元次官を“接待”したとされる建設業者のユン・ジュンチョン氏の江原道原州(ウォンジュ)の別荘内部の構造、性的暴行の場面を撮影した時のユン氏の服装や家具の配置などを正確に供述したというのが、当時捜査を担当していた警察側の判断だ。「一部の供述の変化」は性的暴行被害者にしばしばあることでもある。当時警の察捜査チーム関係者は「その時の捜査記録を見ると、被害者が大きな枠組みで供述を覆したことはないことが分かる」と強調した。物証がほとんどなくなった今回の再捜査では、関連者の供述の信憑性に対する“再評価”が主要となる見通しだ。

 「動画の中のキム元次官の顔は鮮明だが、被害女性の顔は出ていない」というのも、当時検察が掲げた不起訴事由だ。しかし、警察は「動画は間接証拠であるだけなのに、検察が問題の本質をすり替えている」と反論する。動画の撮影時点(2006年)は、検察と警察が捜査した特殊強姦容疑の時点(2007~2008年)と異なる。動画はキム元次官とユン氏の「癒着・上納」関係を立証する一つの端緒にすぎないが、動画をまるで決定的な証拠であるかのように扱ったわけだ。

 この事件の主要容疑である特殊強姦罪の公訴時効は15年だ。2008年以降の容疑については再捜査が可能だ。2013年の捜査外圧疑惑も、公訴時効が7年の職権乱用罪の適用が可能だ。

■故チャン・ジャヨンさん事件には沈黙する検警

ほとんどが時効が過ぎたが、上部が介入した場合は「職権乱用」捜査が可能

 朝鮮日報のオーナー一家の関与疑惑があるチャン・ジャヨンさん事件については、警察と検察はいずれも口を閉ざしている。2009年3月、チャンさんが自殺したことで浮上したこの事件は、犯罪容疑のほとんどが2008年以前に集中している。強制わいせつ罪(10年)、強要罪(7年)など、公訴時効がすべて過ぎている。

 ただし、当時の警察の事件隠ぺい疑惑と関連した公訴時効は一部残っている。朝鮮日報のパン・サンフン会長が2011年に共に民主党のイ・ジョンゴル議員を相手に起こした名誉毀損裁判で、当時捜査チームの警察は「パン・ジョンオ元『TV朝鮮』代表とのチャン・ジャヨンさんの通話記録がない」と虚偽の証言をしている。最高検察庁真相調査団は、その警察の偽証容疑を捜査すれば、公訴時効を生かすことができると見ている。

 10年近く続いてきた再捜査要求に検察上層部が介入したならば、職権乱用(公訴時効7年)の容疑も窺える。2009年、警察の捜査当時、ソウル警察庁長だったチョ・ヒョノ元警察庁長は、マスコミとのインタビューで「パン・サンフン社長の名前が取り上げられないようにしてほしいと朝鮮日報側から警察に非常に激しく抗議があり、脅迫に感じた」と打ち明けたこともある。検事長出身のある弁護士は「捜査はしてみないと分からない。『バーニングサン事件』で総警(日本の警視正)の関与が出てきたように、チャン・ジャヨン事件も再捜査してみれば、公訴時効問題を含め、結果は誰にも分からない」と指摘した。

 ただ、法曹界では公訴時効が過ぎた部分は捜査が難しいという見方が多い。ある検事は「公訴時効が過ぎた事件は現行法律では捜査が不可能であり、再捜査をするに値する別途の法律上の根拠がなければならない。基本権侵害論議の素地があり、政権が変われば職権乱用に見える蓋然性もある」と話した。このような理由から、公訴時効が過ぎた部分は最高検察庁真相調査団の役割になる可能性が高い。真相調査団の関係者は「公訴時効が過ぎても事実関係を明らかにするのが真相調査団がすべき核心部分」だと述べた。

キム・ヤンジン、チェ・ウリ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/886571.html韓国語原文入力:2019-03-19 21:29
訳M.C

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