「現在、わが党にとって経済発展と人民生活の向上より切実な革命任務はない」
第2回朝米首脳会談が合意なしに終わった後、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が発表した初の公式メッセージだ。金委員長は今月6日~7日、平壌で開催された第2回全国党初級宣伝人大会に送った書簡で、「現在、わが党の思想事業で重要な課題の一つは、社会主義経済の建設の実現に向けて、宣伝・扇動の火力を集中させること」だとし、このように述べたと、朝鮮中央通信が9日付で報じた。金委員長は同書簡で、「自力更生」を噴出させるための「宣伝攻勢」も求めた。
第2回朝米首脳会談の決裂に対する直接的な言及はなかったが、専門家らは今回の書簡を金委員長の“ポストハノイ”のメッセージと見ている。ク・ガブ北韓大学院大学教授は「北朝鮮が国家経済発展5カ年戦略を始めて4年目に入った」とし、「今、金委員長が成果を出すべき分野がやはり経済であるため、このようなメッセージを送ったものと見られる」と分析した。会談決裂後、金委員長が“新たな道”を選ぶかどうかにも関心が集まったが、ひとまずは「社会主義経済発展総力集中」路線に集中する意向を示したものと見られる。
金委員長が書簡で「首領の革命活動と風貌を神秘化すると、真実が覆い隠されてしまう」とし、「首領に人間的に、同志的に魅惑されるとき、絶対的な忠誠心が出てくる」と述べた点も注目される。コ・ユファン東国大学教授は「今や宣伝・扇動も指導者の神秘化だけではなく、経済的成果を出して人民生活を向上させてこそ、指導者のリーダーシップを確保できるという考えを示したもの」だと指摘した。金委員長が書簡で繰り返し強調した「人民大衆第一主義」と「国家第一主義」も、経済分野での成果を促すためのものと見られる。ク教授は「首領制について公に言及したことだけでも意味が大きい」と話した。
このような中、金委員長は10日午前、平壌(ピョンヤン)の金策工業総合大学で、第14期最高人民会議代議員選挙の投票権を行使し、帰国後初の公開活動に出た。韓国の国会議員総選挙に当たる今回の選挙を機に、「第2期金正恩体制」が発足する見通しだ。最高人民会議は北朝鮮憲法上の国家最高指導機関で、立法や国務委員会、内閣など国家職の人事や国家予算審議、承認などの権限を持つ。コ・ユファン教授は「新たな人物がどれだけ登用されるか、また軍・党・職能別の割合がどのように構成されるかを見る必要がある」とし、「金正恩時代を支える革命3~4世代の新進統治エリートが大挙進出する世代交代の意味合いがある」と分析した。