大統領府は11日、自由韓国党が推薦した5・18光州(クァンジュ)民主化運動真相究明調査委員会(真相究明委)の委員3人のうち、クォン・テオ元韓米連合軍司令部作戦処長とイ・ドンウク元「月刊朝鮮」記者に対する再推薦を自由韓国党に要求した。彼らが「5・18民主化運動の真相究明のための特別法」が定めた委員資格条件を満たしていないという理由からだ。
キム・ウィギョム大統領府報道官は同日のブリーフィングで、「クォン・テオ、イ・ドンウク候補は特別法に規定された資格要件を満たしておらず、再推薦を要請した」とし、「今日午後、国会に再推薦を要請する内容の公文書を送った」と明らかにした。両候補は先月、自由韓国党が調査委員に推薦した当時も、5・18非難発言の前歴と共に、(委員になる)資格をめぐり、議論になってきた。
特別法は「判事や検事、軍法務官または弁護士の職に5年以上在職した人、法医学専攻者として関連業務に5年以上携わった人、国内外の人権分野の民間団体で5年以上携わった人」など、調査委員の資格要件を5つに規定しているが、両候補はいずれにも該当しないためだ。特別法は、国会が推薦した9人の委員(国会議長1人、共に民主党4人、自由韓国党3人、正しい未来党1人)に対し、欠格事由がない場合は、大統領が任命するよう定めている。
キム報道官は、自由韓国党が推薦した別の候補である判事出身のチャ・ギファン弁護士については「国民的合意が終わった5・18民主化運動について歪曲・偏向した見方が多く、憂慮すべき言動が確認されたが、法律的資格要件を満たしており、再推薦は要請ない」としたうえで、「今後の活動過程で、5・18運動に対する歴史的真実の究明のため、最善を尽くすことを要請する」と述べた。
文大統領の今回の決定は、資格不足を理由に自由韓国党が推薦した候補に対する任命を事実上拒否したものと言える。これまで5・18関連団体は大統領に、彼らの任命を拒否することを求めてきた。また、5・18に対する歴史的評価が終わったにもかかわらず、最近、自由韓国党の一部議員と極右勢力が5・18の価値を毀損する妄言を繰り返すなど、歴史の歪曲が続いているだけに、5・18当時の戒厳軍の流血鎮圧と人権蹂躙、発砲責任者らの真相究明のために、真相究明委がまともに構成されなければならないという文大統領の意志があるようだ。文大統領は就任直後の2017年5月18日、光州で行われた5・18記念式で、「5・18関連資料の廃棄と歴史歪曲を阻止する」と公言した。
大統領府の今回の決定に対して、自由韓国党からは不満の声があがっているが、公式の反応は控えている。ナ・ギョンウォン院内代表らが米国を訪問しており、党内部の論議をさらに進める必要があるということだ。自由韓国党院内執行部のある議員は、「事態をしっかり把握してから、党の立場を表明する」と述べた。
自由韓国党は、5・18真相究明特別法が昨年9月から施行されたにもかかわらず、5・18への北朝鮮軍侵入・介入説を主張してきた極右性向のチ・マンウォン氏を調査委員に推薦する問題をめぐり、4カ月間決定を先送りした末に、先月になってようやく3人を推薦した。しかし、大統領の再推薦要請で、別の人物を探さなければならない状況に置かれた。
共に民主党など他の政党は大統領府の決定を歓迎した。民主平和党のキム・ジョンヒョン代弁人は「文大統領が5・18真相究明委調査委員の再推薦を要請したのは、真相調査の歴史的深刻性を深く理解した措置」だと評価した。
自由韓国党が推薦権を放棄すべきという声もあがっている。特に、形式的に資格要件を満たしているとして、文大統領が任命を拒否しなかったチャ弁護士も、5・18を歪曲した発言をしており、今後の真相究明活動に対する懸念が広がっている。彼は「(5・18を描いた)映画『華麗なる休暇』などにより、大韓民国が国民を残酷に殺す国という誤った認識が広がっている」とか、「光州で平和的に手を取り合って行進するデモ隊を照準射撃したことはない」などと主張した前歴がある。また、朴槿恵(パク・クネ)政権当時、セウォル号惨事特別調査委員会の政府推薦委員として活動し、故意に調査を妨害したという批判を受けた。共に民主党のカン・ビョンウォン院内代弁人は「自由韓国党は調査委員の推薦権を放棄し、5・18民主化運動真相究明委員会の発足に直ちに協力せよ」と要求した。