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裁判所、ドアノブ3人衆に2審でも実刑…「特活費の一部が賄賂」初めて認める

登録:2019-01-05 06:02 修正:2019-01-07 11:13
アン・ボングン元秘書官(左)とイ・ジェマン元秘書官=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 朴槿惠(パク・クネ)前大統領の国家情報院長特殊工作事業費(特別事業費)の授受に関与した疑い(特定犯罪加重処罰法の収賄幇助および国庫損失幇助)で裁判にかけられた「ドアノブ3人衆」のアン・ボングン、チョン・ホソン元秘書官が、2審でさらに重い刑を言い渡された。裁判部は国情院から大統領府に渡された特別事業費の一部が賄賂に該当すると初めて認めた。

 4日、ソウル高裁刑事4部(裁判長キム・ムンソク)はアン・ボングン元国政広報秘書官(53)に懲役2年6カ月、1350万ウォン(約130万円)の追徴と、1審(2700万ウォン)より多い1億ウォン(約960万円)の罰金を言い渡した。1審で懲役10カ月、執行猶予2年を言い渡されたチョン・ホソン元秘書官(50)には、懲役1年6カ月、執行猶予3年、罰金1億ウォンを言い渡した。1審で懲役1年6カ月が言い渡されたイ・ジェマン元大統領府総務秘書官(53)に対する控訴は棄却された。

 裁判所は2016年9月、国情院が大統領府に渡した2億ウォン(約1920万円)が“賄賂”に当たるという新しい判断を示した。検察は、国情院長が渡した特別事業費は業務上の便宜を期待して大統領府に渡した賄賂に当たると主張したが、1審裁判部はこれを賄賂と認めることはできないと判断した。

 しかし、2審裁判部は、国情院が渡した特別事業費約33億ウォン(約3億1700万円)のうち、2億ウォンは賄賂に当たると判断した。「国情院に莫大な影響力を持つ大統領が巨額の金品を提供されただけでも、職務執行の公正性を疑われる。特恵を与えなくても賄賂と見ることができる」という趣旨だ。

 2016年に国政壟断事態が起きると、国情院の資金支援が一時中断された。国情院は大統領府に「朴槿恵前大統領に何をして差し上げればいいのか」と尋ね、「正月や中秋節などに使う資金を支援してほしい」という要求を受けて、2億ウォンをチョン元秘書官を通じて大統領府に渡した。裁判部は「2016年9月、国情院は『朴前大統領が苦しい立場に追い込まれている』という話を聞き、自発的に1億ウォン(約790万円)増額された資金を出した。定期的に上納されていた資金がイ元秘書官を通じて渡されたのと違って、チョン元秘書官がこれを直接渡した点も、これまでの上納方式とは異なる」と付け加えた。

 ドアノブ3人衆の1審や元国情院長ら、朴槿惠前大統領関連裁判で、特別事業費は賄賂ではないという判断が相次いだ。定められた予算の目的と異なる用途で使われたものの、職務との関係がなく、見返り関係もないため、賄賂ではないとみなしたのだ。しかし、朴前大統領に渡された特別事業費の一部が初めて賄賂として認められたことで、朴前大統領の収賄容疑をめぐる有罪・無罪の判断も影響を受けるものとみられる。

 裁判部は、国情院長が会計業務を担当する「会計関係職員」と判断した1審の判断を再確認した。国庫など損失罪(特定犯罪加重処罰法第5条)は「会計関係職員」が国庫または地方自治体に損失を与えることを知りながら横領した場合、加重処罰するよう定めている。国情院長が会計関係職員にあたるかどうかによって、ドアノブ3人衆の国庫など損失幇助罪が成立するかどうかが変わってくる。

 裁判部は、国情院特別事業費執行計画書に国情院長の決済欄があり、国情院長が直接決済したという点に注目した。「国情院長の指示に従って特別事業費を執行した」という国情院職員の供述も参考にした。裁判部は「国情院長に割り当てられた特別事業費の一部は、国情院長が執行を指示し、承認する方法で権限を行使した。国情院長は、関連法が規定した会計関係職員に該当する」と説明した。

 国情院長を会計関係職員と見るかどうかについては、裁判所によって判断が異なる。昨年12月、ソウル高裁刑事3部(裁判長チョ・ヨンチョル)は「国情院長は会計関係職員ではない」として、特別事業費の上納の疑いで起訴された元国情院長の量刑を減刑した。国情院から特別事業費を上納された李明博(イ・ミョンバク)元大統領も「国情院長は会計関係の職員ではないため、関連容疑が成立できない」とし、違憲法律審判を申請した。

 チョン・ホソン元秘書官ら「ドアノブ3人衆」は、朴槿恵政権当時、2013年5月から2016年9月まで計33億ウォン(約3億1700万円)にのぼる国情院の特殊活動費を大統領府に渡すのに関与した疑い(特定犯罪加重処罰などに関する法律の国庫など損失幇助)などで裁判にかけられた。

コ・ハンソル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/877025.html韓国語原文入力:2019-01-04 20:20
訳H.J

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