本文に移動

文大統領、企業に投資・雇用求めると共に規制緩和など約束

登録:2019-01-02 23:47 修正:2019-01-03 08:56
文在寅大統領と金正淑夫人が今月2日午前、ソウル汝矣島の中小企業中央会地下1階のグランドホールで開かれた「2019己亥年新年会:もっと豊かな、安全な、平和な大韓民国」行事の後、出席者らと記念撮影をしている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は2日、新年会の演説で、低成長を克服するための対策として革新と投資を強調した。韓国経済の体質を根本的に変えるために、現政権が推進してきた所得主導成長や包容経済などの政策基調は維持する一方、経済革新と企業投資を引き出すことに集中することで、経済に活力を吹き込もうとする意志をほのめかしたのだ。

 文大統領が今年の新年の辞を貫く唯一のテーマとして経済を掲げたのは、経済と民生の分野で国民が体感する成果を出せなければ、就任3年目の国政運営の動力を失いかねないという切迫感のためと見られる。昨年の新年の辞では、朝鮮半島の平和と国民の安全を新年の願いに挙げた。しかし、文大統領は同日、「平和が韓国経済に大きな力になる時代を必ず作る」とし、朝鮮半島の非核化と平和問題まで経済と結び付けた。大統領府関係者は「今日の演説は南北関係を含めて事実上最初から最後まで経済だった」と話した。

 特に、文大統領は革新を強調した。文大統領は「革新が行われてこそ、経済の躍動性を生かし、低成長を克服する新たな突破口を開くことができる」とし、「第4次産業革命時代の基盤であるデータや人工知能、水素経済、スマート工場、自動運転車など、革新のための予算を本格的に投入する」と述べた。革新成長は所得主導成長と共に現政権の経済政策の両軸だが、これまで所得主導成長の方に重点が置かれてきた。文大統領は、長期の景気低迷と自動車や半導体など主力産業が優位を失うという危機感が高まる中、新たな成長の動力を見つけて経済に活力を吹き込まなければ、「ともに豊かに暮らす包容国家」の基礎まで崩れる恐れがあるという認識を示したものと見られる。文大統領は同日、従来の政策基調を維持する意思を明確にしながらも、所得主導成長や包容経済など現政権の核心政策の用語について、演説で一度も言及しなかった。

 文大統領が経済の活力を強調したのは、最近、世論の支持率が下落している主な原因と関係がある。文大統領の国政遂行に対する肯定的な評価が、就任序盤には80%台まで上がったが、最近行われた新年の各種世論調査では、肯定的な評価が47%前後に落ち込んだ。一部の調査では否定的な評価が50%を上回った。特に否定的に評価する主な理由として、経済、民生分野の不振を挙げる人々が圧倒的に多かった。大統領府関係者は「革新的包容国家と平和な朝鮮半島は文在寅政権の国政基調の2大軸」だとしたうえで、「平和な朝鮮半島の部分は一定の成果を収めているが、共に豊かに暮らす革新的包容国家に関する国民の評価が非常に低い状況」だと話した。また、「文大統領が経済を強調したのは、国民が自分の人生が良くなるという希望を持てない限り、執権3年目の国政を力強く運営していくのは難しいと考えたからだ」と分析した。

 文大統領は新年の演説で、民間企業の投資も強調した。「経済発展も雇用も、結局は企業の投資から生まれる」としたうえで、「企業が投資に積極的に取り組めるよう、政府が支援すると共に新産業における(規制の)サンドボックス(革新的技術・サービスを事業化する目的で、地域限定や期間限定で現行法の規制を一時的に停止する制度)も本格的に施行する」と述べた。文大統領のこのような発言は、公共雇用の拡充だけでは限界があるだけに、企業にも投資や雇用を増やすよう呼びかけたものと言える。大統領府関係者は「政府が規制革新などを通じ、各企業に予測可能で一貫性のある政策を取るから、企業も政府を信じて活力の向上に取り組んでほしいということ」だと話した。

 文大統領は主要経済政策の推進過程で、経済主体らとの積極的なコミュニケーションを通じ、昨年の二の舞を踏まないという考えも示した。政府は昨年、意欲的に最低賃金の引き上げや労働時間短縮政策を推進したが、少なからぬ社会的混乱と論争が起きた。彼は「ろうそく(集会)は、より多くの人が行動を共にするまで忍耐し、成熟した文化で世の中を変えた。同じ方法で経済を変えなければならないと思う」としたうえで、「より多くの国民が共感するまで忍耐する。困難について国民に説明し、利害当事者らに譲歩と妥協を求める」と述べた。大統領府関係者は「経済の体質改善や革新成長は一夜にして実現できるわけではなく、利害当事者たちの抵抗も予想される」とし、「この過程で文大統領が(国民の声に)さらに耳を傾けて、共同体全体と一緒に進むようにするという意味」だと説明した。

ソン・ヨンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/876780.html韓国語原文入力:2019-01-02 21:41
訳H.J

関連記事