韓米が戦時作戦統制権(戦作権)の韓国軍への返還に先立ち、来年から韓国軍主導の連合作戦遂行能力を評価する手続きに入ることにした。2014年にいわゆる「条件に基づく戦作権の返還」に合意し、事実上“ストップ”状態にあった議論が“スタート”状態に切り替わることになる。韓米は戦作権返還後も在韓米軍を維持するものの、韓国軍の指揮を受ける連合司令部を創設することを決めた。
チョン・ギョンドゥ国防部長官とジェームズ・マティス米国防長官は31日(現地時間)、ワシントンで第50回韓米定例安保協議(SCM)を開き、このような内容の共同声明を発表すると共に、連合防衛指針などの関連文書に署名した。韓米が戦作権の返還に伴う連合指揮体系の改編案を文書で明示したのは初めてだ。
韓米は今回の会議で、戦作権の返還に先立ち、来年から韓国軍の基本運用能力(IOC)の評価に入ることにした。韓国軍主導の連合作戦遂行能力に関する事前評価を省略し、本格的な検証手続きに入るわけだ。戦作権の返還を加速化するという意志が窺える。検証手続きは、第1段階の基本運用能力の評価をはじめ、完全運用能力(FOC)の評価と完全任務遂行能力(FMC)の評価の3段階で構成されている。
検証手続きを終える目標の時点は示されなかった。来年まで基本運用能力評価を終えた後、1年単位で後続段階を通過すれば、2021年までに戦作権の返還のための検証手続きが完了すると予想する専門家もいる。その場合は、2022年5月に終わる文在寅(ムン・ジェイン)政権の任期内に戦作権の返還が実現する可能性もある。
しかし、検証完了が直ちに戦作権の返還を意味するわけではない。韓米は2014年の第46回協議で「条件に基づく戦作権の返還」原則に合意し、韓米連合防衛を主導できる韓国軍の核心軍事能力の確保▽北朝鮮の核・ミサイル脅威に対する韓国軍の初期必須対応能力の具備▽戦作権の返還に符合する朝鮮半島および地域安保環境の管理の3つの条件を提示した。韓国軍が軍事的能力を満たしても、朝鮮半島および地域の安保環境の評価で足を引っ張られる可能性もある。国防部当局者は「第3の条件は、現在進行中の非核化交渉と関係がある」とし、「その条件が達成されれば、戦作権の返還時期について本格的に協議できるだろう」と話した。
韓米は戦作権返還後、韓国軍主導の連合指揮構造の編成にも合意した。現在の韓米連合軍司令部と類似した形の連合軍司令部を創設するものの、韓国軍大将が司令官を、米軍大将が副司令官を務める案だ。米軍大将が司令官、韓国軍大将が副司令官を務める韓米連合軍司令部の構造が、韓国軍主導に変わるわけだ。米国は伝統的に他国の指揮を受けないことを原則に掲げてきたことから、画期的な変化と言える。
韓米は、戦作権の返還に対する懸念を考慮し、連合防衛を再確認した連合防衛指針にも署名した。8項目で構成された連合防衛指針には、韓米相互防衛条約に基づいて在韓米軍が戦作権を韓国軍に返還した後も駐留し、米国は拡大抑止力を提供するという公約が盛り込まれた。国防部関係者は「戦作権の返還問題をめぐっては、在韓米軍が撤退するのではないか、連合司令部が解体するのではないかという懸念の声も上がっているが、韓米がこれを克服できるという意志を込めたもの」だと説明した。