本文に移動

「平壌宣言・軍事合意書批准は違憲」…「違憲主張自体が違憲的発想」

登録:2018-10-25 01:11 修正:2018-10-25 07:27
キム・ソンテ自由韓国党院内代表(中央)が24日、国会の院内代表室でクァク・サンド(左)、チェ・ギョイル議員(右)と共に緊急記者会見を行い、「閣僚会議で批准した平壌共同宣言と南北軍事合意書の効力停止仮処分申請書」を掲げている//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が23日「9月平壌共同宣言」(平壌宣言)と「板門店宣言軍事分野履行合意書」(軍事合意書)を批准したことに対し、自由韓国党が「国会の同意なき批准は違憲」とし法的対応を予告した。憲法裁判所に権限争議審判を請求し、裁判所には効力停止仮処分申立てを行うということだ。これに対し大統領府は「違憲だとの主張自体が違憲」と対抗して「平壌宣言」と「軍事合意書」の批准が政治的攻防の焦点になった。

 憲法60条1項は「国会は相互援助、または安全保障に関する条約、国家や国民に重大な財政的負担を負わせる条約、または立法事項に関する条約の締結・批准に対する同意権を持つ」と規定している。自由韓国党は、海上緩衝区域設定、空中偵察活動中断などの内容を盛り込んだ軍事合意書は「安全保障に関する条約」に該当するので、国会の同意が必要だと主張している。

 キム・ソンテ自由韓国党院内代表は24日、国会で記者会見を行い「国家の外交安保的重大懸案に対する批准同意の要否は、国会の議論を通じて慎重に判断すべき事案」と強調した。また、平壌宣言と軍事合意書の“先行宣言”格である4・27板門店宣言に対する国会の批准同意もなされていない状態で、後続合意を先に批准することは「法理的に合わない」と主張した。キム院内代表は「母法が作られる前に施行令を先に作るようなもので、子を産む前に出生申告をするようなもの」と言い、「合意書に含まれている内容が国民に重大な財政的負担を誘発するだけでなく、国家の安保に重要な事項を含んでいるとのことに留意しなければならない」と強調した。

 ソン・ハクキュ正しい未来党代表も、文大統領が平壌宣言・軍事合意書を板門店宣言に先立って批准したことに対して「原則なき政府」、「大韓民国政府の信頼度を自ら低める行為」と批判した。ただし、自由韓国党の権限争議審判請求への参加有無については「まだ(韓国党から)提案を受けていない」としつつも「南北間の宣言は政治宣言であり、南北の首脳が意志を持ってすべきこと」と述べた。権限争議審判は、国家機関または地方自治体の間に生じた権限攻防に対して憲法裁判所が審判する制度であり、請求主体が“国会”にならざるを得ないだけに、与野党の合意が必須なので現実化の可能性は低い。

 保守野党の「違憲主張」に対して、大統領府は「根本的な法理誤解」と反論した。「北朝鮮は韓国の法律体系で国家ではないため、北朝鮮と結んだ合意や約束は条約ではない。憲法は適用され得ない」という主張だ。

 キム・ウィギョム報道官はこの日、記者団に会って「憲法60条が言及する条約とは、国家間の文書による合意を指す」としながら、国会の同意を受けなければならない「条約」の範囲にないと話した。南北関係は「南北関係の発展に関する法律」3条1項の規定により「国家間の関係ではなく、統一を指向する過程で暫定的に形成される特殊関係」と定義されるということだ。

 彼は「以前に締結された南北合意書についても、韓国の憲法裁判所と最高裁(大法院)は明白に憲法の適用対象ではないと明らかにしていて、今回の南北軍事合意書批准に関して違憲と主張することは、憲法裁判所の決定と最高裁の判例に明確に反すること」と述べた。続けて「さらに根本的には、これを違憲というならば北朝鮮を厳然たる国家と認定することになり、憲法3条の『大韓民国の領土は朝鮮半島とその附属島嶼とする』という条項に違反する行為」とし「違憲と主張すること自体が、むしろ違憲的な発想」と指摘した。

 だが、北朝鮮を“国家”と認めない大統領府の説明についても、論議が続くと見られる。イ・ヤンス自由韓国党院内代弁人は、ハンギョレとの通話で「北朝鮮と同時に国連加入をする時も、加入対象国になるかやめるかの論議があった。北朝鮮が憲法の認める国家ではなくとも、国家間の交渉に準ずる合意であるから国会の同意は必要だ」と話した。

イ・ジョンフン、ソン・ヨンチョル、イ・ギョンミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/867209.html韓国語原文入力:2018-10-24 20:08
訳J.S

関連記事