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[ニュース分析]不可逆的平和へと進む「平壌の2泊3日」

登録:2018-09-18 05:53 修正:2018-09-18 07:27
平壌南北首脳会談//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長の初対面が行われた4月27日、板門店首脳会談の歓送公演のテーマは「朝鮮半島の春」だった。戦争勃発の危機にまで突き進んだ酷寒の冬を押し出した“春”に、朝鮮半島の8千万の市民(人民)はもちろん、全世界がお祝いと激励の拍手を送った。春が過ぎ、夏も過ぎ、もう秋がきた。その間、5月26日には板門店(パンムンジョム)の統一閣でもう一回の南北首脳会談があり、6月12日にはシンガポールで史上初の朝米首脳会談と「新しい朝米関係の樹立」を約束した「共同声明」(セントーサ合意)の発表が行われた。

 文大統領は4・27板門店宣言を採択し、金委員長と共同発表する際、「我々は決して後戻りしない」と約束した。絶叫に近いその誓いは虚言ではない。平壌(ピョンヤン)での首脳会談を翌日に控えた17日、文大統領は大統領府で首席・補佐官会議を開き「今や南北関係は新たな時代に入った」と宣言した。北朝鮮労働党中央委機関紙「労働新聞」も同日、「南北関係はついに平和の道、和解・協力の道に入るようになった」とし、「新たな平和の軌道、和解・協力の軌道に入った南北関係を、脱線をさせず、そのまま引き継ぐのは我々共和国の確固たる立場であり意志」だと強調した。南北関係に“後戻り”なないという宣言だ。

 18日から大統領と金委員長が平壌(ピョンヤン)で首脳会談を行う。「板門店の春」が「平壌の秋」につながるわけだ。文大統領と金委員長は3日間「平和、新たな未来」(首脳会談の公式スローガン)という、新春を呼び寄せる秋の収穫に乗り出す。秋は厳しい寒さに備える実りの季節だ。春に期待したほど豊かではないかもしれないが、得るものなしではないだろう。

 文大統領と金委員長は平壌で、少なくとも2回以上公式会談を行う予定だと、大統領府が明らかにした。2000年と2007年の平壌首脳会談とは異なり、北朝鮮の憲法上の国家首班だが、“実権”を持たない金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長を間に挟む“イデオロギー的儀典”は排除された。単独・拡大会談のような外交儀典も排除した。文大統領は「金正恩委員長と胸襟を開いて多くの対話を交わすことを今回の会談の目標としている」と同日の首席・補佐官会議で明らかにした。実用主義の表れであり、これまで南北首脳の相互信頼の水準がかなり高くなったことを裏付けるものだ。

 特に、文大統領は「私が求めるのは平和、それこそ不可逆的かつ恒久的な平和」だと強調した。さらに「私たちは易地思之(相手の立場になって考えること)と心を尽くした対話を通じて、互いに対する不信感を払しょくせねばならない」と呼びかけた。

 これと関連し、イム・ジョンソク大統領秘書室長は同日午前、ソウル東大門デザインプラザ(DDP)のプレスセンターで行ったブリーフィングで、南北関係の発展(板門店宣言の履行事項の確認と持続可能な具体的な発展案の協議)▽非核化に向けた朝米対話の仲裁・促進▽南北の軍事的緊張緩和と戦争の脅威の終息を「3大議題」として提示した。イム室長は「南北関係を改善・発展させていくことが(今回の会談で)最も重要」だと強調する一方、「今は非核化の議題が重要な中心議題」だと明らかにした。南北首脳会談で具体的な非核化案を本格的に協議するのは今回が初めてだ。

 特に「非核化議論」と関連し、文大統領は「米国の非核化措置要求と北側の敵対関係の清算と安全保障に向けた相応措置要求の間で、いかなる接点を見出せるか、金委員長と虚心坦懐に対話を交わしたい」と明らかにした。3大議題のうち「非核化」問題は事案の性格から、南北の水面下の事前協議では決められず、全面的に両首脳の直接対話にかかった問題だ。非核化と相応措置をめぐり3カ月間にわたって対立を続けている朝米が「文大統領の役割」を求めている状況で、文大統領が朝米間の接点を見出すため、金委員長との対話に取り組むが、結果は予断できない。イム室長が「両首脳の間でどれほど率直な対話が実現するかによって、非核化に関して進展した合意が合意文に盛り込まれるか、口頭合意で発表されるかは、我々にとってもブランク(カッコ)」だとして、極めて慎重な態度を示したのもそのためだ。

 平壌会談の結果は18日(現地時間)から米ニューヨークで開かれる国連総会をきっかけにした韓米首脳会談はもちろん、金委員長とドナルド・トランプ米大統領の第2回首脳会談の実現にも少なからぬ影響を及ぼし、朝鮮半島情勢の舵取りの役割を果たす可能性が高い。南北首脳は5月26日、電撃的な「第2回板門店会談」を通じて、朝米首脳会談の取り消しを通知するトランプ大統領の手紙(5月24日)で座礁の危機に追い込まれた初の朝米首脳会談への橋頭堡を確保した。今回の首脳会談で、南北首脳が朝鮮半島の平和への決定的基盤を築けるかに注目が集まっている。

イ・ジェフン、キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/862482.html韓国語原文入力:2018-09-17 22:22
訳H.J

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