「国民年金基金が2057年には枯渇する?財政安定化、つまり『基金を枯渇させてはならない』というフレームから抜け出そう」(チョン・セウン忠南大学経済学科教授・国民年金財政推計委員)
「所得代替率45%なら老後が保障されて、40%なら国民年金財政が安定する?争点はそれではない。現世代と未来世代の財政負担分をどうやって分けるかだ」(オ・ゴンホ「私が作る福祉国家」運営委員長・国民年金制度発展委員)
23日、国会議員会館で開かれた「4次財政推計、その意味と課題、望ましい国民年金改革の方向は」というタイトルの討論会の席で激論が起こった。この日の討論会には、国民年金政策諮問案に関与した民間委員たちが討論者または聴衆として参加し、注目を集めた。
討論会で発題を受け持ったチョン・セウン教授は、基金が2057年に底をつく恐れがあるので、保険料を引き上げなければならないという論理の弱点を指摘した。2018年の国民年金支給額の規模は、国内総生産(GDP)の1.3%に過ぎない。国民年金4次財政計算の結果、70年後の2088年にはこの数値が9.4%に上がる。ところが、2013年基準の経済協力開発機構(OECD)諸国の老後所得保障支出の規模を見ると、イタリア・フランス・日本などはすでにGDPの10%を超える。チョン教授は「2088年にGDPの9.4%になるのは、未来の韓国の高齢化レベルでみれば十分耐えられる水準」だとし、足りない財源は国家財政で充当しなければならないと主張した。
国民年金制度発展委員である韓国保健社会研究院のチョン・ヘシク公的年金研究センター長も「5年に一度財政推計を行うたびに『基金の枯渇』という黒魔法にかかっている」と主張した。チョンセンター長は「国民年金の役割を強化し、所得代替率を高め、需給包括性を高める政策を展開しなければならない」とし、保険料の引き上げだけでなく、政府財政投入、月468万ウォン(約46万円)と決まっている所得の上限引き上げなどさまざまな代案を考えてみる必要があると提案した。
一方、オ・ゴンホ運営委員長は、このような方向の限界を指摘した。現世代がGDPの1.8%を負担し、未来世代には10%を負担せよとすることが果たして公平なのかという問題意識だ。世代内不平等の問題も指摘した。「2088年(保険料のみでは足りない財政収支である)GDP6.6%を国家財政で投入することもできる。ところが現在、国民年金支給額を定める算式は、労働市場の格差をそのまま反映するようになっている。未来の高齢者のうち、ある人は30万ウォン、ある人は100万ウォンをもらうという不平等な構造だ」。国民年金よりは基礎年金の強化が解決策だとオ運営委員長は主張した。
一方、この日の討論会の参加者らは「国民年金の支給保障の義務」を法に明文化する案を強く主張した。これに対してチャン・ホヨン保健福祉部年金政策課長は「国民の不安を鎮めるさまざまな方策を関連省庁と検討中」だと明らかにした。パク・ヌンフ福祉部長官も21日、国会保健福祉委員会全体会議に出席し、「国民の強い要求があれば支給保障規定を明文化することも方策」だと述べている。