1審で懲役24年と罰金180億ウォンを言い渡された朴槿恵(パク・クネ)前大統領の控訴審判決が24日に下される。朴前大統領は控訴を放棄し法廷にも出なかったが、「共犯」チェ・スンシル氏が自分の裁判で事実上「代理戦」を行った。朴前大統領とチェ氏の事件をいずれも審理した2審裁判部がどのような判断を下すか、関心を集めている。
ソウル高裁刑事4部(裁判長キム・ムンソク)は24日午前10時に朴前大統領の2審を宣告し、午前11時には別途審理を行ったチェ氏とアン・ジョンボム元大統領府政策調整首席の控訴審を宣告する。1審でチェ氏とともに裁判を受けていたロッテグループの辛東彬(シン・ドンビン、日本名 重光昭夫)会長は、2審では別の事件と併合され、ソウル高裁刑事8部(裁判長カン・スンジュン)で裁判を受けている。辛会長の裁判は29日に結審が予定されており、10月初めに判決が出る見通しだ。
朴前大統領の18の容疑のうちもっとも刑が重い容疑は、特定犯罪加重処罰等に関する法律の賄賂だ。1審を担当したソウル中央地裁刑事22部(裁判長キム・セユン)は4月、朴前大統領がサムスン電子のイ・ジェヨン副会長からチョン・ユラ氏への乗馬支援として72億9427万ウォンの賄賂を受け取ったと判断した。辛会長からロッテワールドタワーの免税店の特別許可再取得と関連し、不正な請託を受け、Kスポーツ財団を通じて70億ウォンを受け取った第3者賄賂容疑も認められた。
今回の控訴審の判決の核心であり、最も関心を集める部分は、裁判部ごとに判断が食い違ったサムスン賄賂容疑だ。当初、検察は朴前大統領を起訴し、イ副会長から433億ウォン(約43億円)の賄賂を受け取ったり、受け取ることを約束した容疑を適用した。イ副会長にも同じ金額の贈賄容疑が適用された。
イ副会長の1審裁判部は、このうちチョン氏の乗馬支援72億9427万ウォン(約7億2千万円)の直接賄賂と、韓国冬季スポーツ英才センターに後援した16億2800万ウォン(1億6千万円)の第3者贈賄(経営権引継ぎという黙示的・包括的な不正請託を認める)など、計89億ウォン(約8億8千万円)を賄賂と認めた。一方、2月のイ副会長の2審裁判部は、不正な請託を認めない方式で、英才センター、ミル・Kスポーツ財団への拠出220億ウォン(約21億7千万円)の第3者贈賄容疑を全て無罪と判断した。乗馬支援もチョン氏が乗った馬3頭を賄賂と認めず、1審の認定額の半分の36億3484万ウォン(約3億5800万円)だけを賄賂と見た。これによって、イ副会長の特定犯罪加重処罰法の横領額も5年以上の刑を宣告しなければならない「50億ウォン」より低くなった。1審で懲役5年を言い渡されたイ副会長は、2審で懲役2年6カ月に執行猶予4年を言い渡され釈放された。しかし、その後続いた朴前大統領の1審では再び馬3頭を賄賂と判断した。今回の控訴審裁判部が経営権継承を不正な請託と認めるか、また、馬3頭を賄賂として判断するかに関心が集中するのもそのためだ。イ副会長の上告審裁判部も結果を注視するものとみられる。
朴前大統領がロッテからKスポーツ財団に70億ウォンの追加拠出を受け取った疑い(第3者収賄)は、別途裁判を受けている辛東彬会長の2審と連動している。裁判部が異なるため、それぞれ違う判断をすることもあるが、朴前大統領の裁判の結果を見れば、辛会長の裁判の結果もある程度予想が可能というのが法曹界の分析だ。辛会長は、控訴審の被告人尋問で「2016年3月、面談の席で(朴前大統領から)金を出せという要求を受けた」と初めて認めたが、不正な請託をした事実はないと否定している。
朴前大統領は、文化芸術界支援排除のリストであるいわゆる「ブラックリスト」の作成・実行を指示した疑いも受けている。ただ、金淇春(キム・ギチュン)元大統領秘書室長などのブラックリスト作成・実行指示疑惑事件がすでに最高裁の全員合議体に付託されただけに、今後の最高裁の判断が最終結論に影響を及ぼすものとみられる。
朴前大統領の2審裁判部が「アン・ジョンボム手帳」の証拠能力を認めるかどうかも重要な争点だ。イ・ジェヨンの2審裁判部は手帳の証拠能力を認めなかったが、その後、朴槿恵1審裁判部は証拠能力を認めたことで、意見を異にした経緯がある。