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韓国、国防白書から「北朝鮮は敵」表現削除

登録:2018-08-22 22:47 修正:2018-08-23 08:55
2016国防白書=資料写真//ハンギョレ新聞社

 政府が隔年で発刊する国防白書から「北朝鮮の政権と北朝鮮軍は私たちの敵」という字句を削除する方針であることが知らされた。

 国防部は22日、出入り記者団に送った携帯メールで「国防白書の北朝鮮軍の表現については、十分な検討を経て12月の発刊時に決める予定」と明らかにした。これに先立って聯合ニュースはこの日、政府高位関係者の話を引用して「年末に発刊される2018年国防白書から『北朝鮮の政権と北朝鮮軍は私たちの敵』という字句を削除することを積極的に検討している」と報道した。国防部の携帯メールはこの報道に対する反応として出されたものだが、報道内容を否定はしなかった。

 「北朝鮮の政権と北朝鮮軍は私たちの敵」という表現は、天安(チョナン)艦沈没と延坪島(ヨンピョンド)砲撃があった2010年の国防白書から入れられた。2016年の国防白書は「第2章 国家安保戦略と国防政策」で「北朝鮮の常時的な軍事的威嚇と挑発は、私たちが直面する一次的な安保脅威であり、特に核・ミサイルなど大量殺傷兵器(WMD)、サイバー攻撃、テロ脅威は、私たちの安保に大きな脅威になる。こうした脅威が持続する限り、その実行主体である北朝鮮の政権と北朝鮮軍は私たちの敵だ」と明示している。

 政府のこうした方針は、この字句が「南北間の一切の敵対行為の全面中止」を規定した4・27板門店(パンムンジョム)宣言の趣旨に合わないとの判断に従ったものと見られる。政府関係者は「対外的に発刊する政府の公式パンフレットに北朝鮮軍を敵として規定したまま、北朝鮮軍と板門店宣言に明示された敵対行為解消措置を協議していくということは矛盾」とし「敵という表現を使わないものの、北朝鮮の軍事的脅威を十分に表現できる表現に変える方案を考慮していると理解している」と話した。

 現実的に北朝鮮が今年に入ってからは核実験とミサイル発射を中止するなど、軍事的威嚇の水準を引き下げた事実も“敵”という表現の削除に影響を及ぼしたと見られる。2016年の国防白書は、北朝鮮を“敵”と規定した背景について、北朝鮮が核・ミサイル発射など軍事的威嚇を続けているためだとし、条件付きの表現であることを明確にしている。北朝鮮の軍事威嚇と挑発が減ったりなくなれば“敵”という表現が削除される余地を残しているわけだ。

 国防白書は、過去にも北朝鮮をどのように規定するかをめぐり「主要敵論議」など何回も波動を体験した。政府は1994年3月、南北間特使交換のための実務接触で、パク・ヨンス北側代表が「ソウルを火の海に」発言をしたことを口実に1995年の国防白書に「北朝鮮軍は主要敵」という表現を初めて導入して以来、使い続けている。しかし2000年の初めての南北首脳会談以後、主要敵表現が議論になり、2004年の国防白書からこれを削除した経緯がある。

パク・ビョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/858680.html韓国語原文入力:2018-08-22 19:58
訳J.S

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