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人権委、良心的兵役拒否の代替服務期間を「現役の1.5倍」と勧告

登録:2018-08-09 09:59 修正:2018-08-09 16:40
国家人権委員会//ハンギョレ新聞社

 国家人権委員会が、良心的兵役拒否は法が定めた「正当な事由」に当たるため、処罰から除外するのが望ましいという立場を最高裁判所に提出した。代替服務制度では現役服務期間の約1.5倍の期間の合宿形式を勧告した。

 人権委は8日「良心的兵役拒否者、良心的予備軍訓練拒否者に代替服務の機会を与えず、兵役法第88条第1項、予備軍法第15条第9項に則って処罰するのは良心の自由を侵害すること」だとし、「良心的兵役拒否は各規定の『正当な事由』に当たるため、処罰対象から除外するのが望ましいという意見を先月31日、最高裁判所に提出した」と明らかにした。

 人権委の今回の決定は、今月30日の良心的兵役拒否者の処罰に関する最高裁判所全員合議体の公開弁論を控え、最高裁判所が人権委に意見を要請して出されたものだ。最高裁判所全員合議体は、最高裁判事3人で構成された小部で意見が一致しなかったり、既存の判例を変える必要があるときに行われる。これに先立ち、最高裁は小部で審理していた予備軍法違反事件と兵役法違反事件を全員合議体に付託することを決定し、公開弁論も一緒に開くことにした。これに関連し最高裁判所は、人権委をはじめ国防部、兵務庁など関連機関に良心的兵役拒否と代替服務制の導入に対する意見を要請している。

 人権委は「良心的兵役拒否に対する裁判所の判決と社会的認識が変わった」という点を根拠に、良心的兵役拒否者を処罰すべきでないという意思を明らかにした。人権委は決定文で「2016年10月の最初の控訴審無罪判決が宣告された後、1審の無罪判決が急増し、昨年1月から今年6月まで72件の1審無罪判決が言い渡された」とし、「第20代国会には代替服務制度の導入を骨子とする法案が3件発議されるなど、処罰ではない他の方式で、国防の義務を履行できるよう代替服務制を導入すべきだという要求が高まっている」と述べた。さらに、「国連自由権規約委員会は2006年に韓国の良心的兵役拒否者が提起した個人通報事件を引用し、良心的兵役拒否者の処罰は自由権規約第18条違反とし、韓国政府に対して彼らの釈放と救済措置を要求した」など、良心的兵役拒否者の処罰が国際基準にもそぐわないと説明した。

 良心的兵役拒否者に対する処罰の正当性問題と代替服務制に対する議論は、憲法裁判所の憲法不合致決定をきっかけに拍車がかかった。憲法裁は6月28日、良心的兵役拒否者に対する処罰を規定した兵役法第88条第1項は憲法に反するものではないと見たが、兵役の種類を「現役・予備役・補充役・兵役準備役・戦時勤労役」だけに限定した同法第5条第1項については、憲法不合致の決定を下した。兵役拒否者に対する処罰は合憲だが、代替服務制度なしに良心的兵役拒否者を処罰することは、良心の自由を侵害しているため憲法不合致と見たのだ。憲法裁は、当該規定について2019年12月31日までに代替服務制を含める内容に改正しなければならないと決定した。

 憲法裁の決定以後、市民社会団体は代替服務制についてさまざまな意見を提示するなど、速度を上げている。アムネスティ・インターナショナル韓国支部、民主社会のための弁護士会、参与連帯などは先月19日記者会見を開き、「憲法裁判所の決定による良心的兵役拒否代替服務制についての市民社会案」を公開した。これらは、認知症高齢者のケア、障害者活動支援などの領域で現役陸軍の服務期間の1.5倍以内で働く案を代替服務案として提案した。これらの団体は「業務の難易度と強度を考慮した時、入隊を避ける手段に悪用される可能性が低い部門を選んだ」とし、「現役陸軍の服務期間の最大1.5倍に期間を限定したのは、代替服務制が良心的兵役拒否者に対する懲罰的性格を帯びてはならないため」と明らかにした。

 人権委もこの日の決定文で「患者輸送、消防業務など犠牲精神を必要とする領域で現役服務期間の約1.5倍に該当する期間、合宿形式で制度を導入した後、改善していくのが望ましい」と提案した。人権委関係者は「現在、代替服務制度作りに向けた研究を進めており、今後その結果を基に政府と国会に政策的代案を提示する計画」と明らかにした。

シン・ミンチョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/856752.html韓国語原文入力:2018-08-08 17:52
訳M.C

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