国内の石炭輸入業者が北朝鮮産と推定される石炭をロシア産と偽装して輸入した疑惑を受けて、関税当局の調査を受けており、当局が調査している事例が合わせて9件にのぼるという事実が新たに明らかになった。石炭の原産地を偽装する行為は関税法上不正輸入罪および刑法上私文書偽造罪の違反だ。また、北朝鮮産石炭の輸入は、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議(第2371号)によって禁止されており、実際にこの石炭が北朝鮮産であることが明らかになった場合、制裁違反が問題になる可能性がある。
外交部と関税庁の当局者は6日、ソウル鍾路区(チョンノグ)の外交部庁舎で記者団に、北朝鮮産の疑いのある石炭の輸入と関連した当局の調査の進行状況を説明した。関税庁の当局者は「昨年10月、関係機関から北朝鮮産の疑いのある石炭の搬入と関連した情報を入手した」とし、「当該情報と関連した輸入会社などを調査しており、現在最終段階にある」と明らかにした。関税庁は調査を終えた後、事件を検察に送致する時点で、詳しい調査結果を発表する方針だ。
外交部と関税庁の説明によると、昨年10月、韓国政府は友好国を通じて北朝鮮産と推定される石炭がロシアを経て国内に搬入されたという情報を入手し、その時から現在まで調査を進めている。現在の関税当局が調査している事例は計9件だ。ただし、関税庁の当局者は、どれほど多くの企業が調査を受けているのかという質問に「調査の結果、容疑なしとなる可能性もあるため、現段階では具体的に話すことはできない」と答えた。これに先立ち、今年3月、国連安全保障理事会対北朝鮮制裁委員会傘下の専門家パネルは報告書を発表し、北朝鮮産の石炭を積んだ船舶二隻(スカイエンジェル、リッチグローリー)が、それぞれ昨年10月2日と11日、仁川(インチョン)と浦項(ポハン)に入港したと指摘した。
ただし、国内の石炭輸入業者が販売したこれらの石炭が、実際北朝鮮産かどうかは、今後の調査結果が出るまで断定できない。これらの業者が実際、ロシア産の石炭を輸入したのか、北朝鮮産の石炭とは知りながらロシア産と偽装して国内に搬入したのか、ロシアの業者にだまされて北朝鮮産の石炭を間違って輸入したのかなども、調査が終わってから明らかになる見通しだ。外交部当局者は「情報は友好国から提供されたもので、情報そのものが北朝鮮産であることを確証できるレベルのものではない」と説明した。北朝鮮産の疑いのある石炭を輸入したと疑われる業者から石炭を輸入した韓国ナムドン発電の関係者は「会社内部的にはロシア産の石炭と99%確信している」とし、「昨年10月の船舶二隻(スカイエンジェル、リッチグローリー)が運んできた9700トンの石炭は、国際競争入札を通じて国内に輸入した。入札の時、北朝鮮産、さらには中国産も排除することを入札公告に明示した」と明らかにした。さらに、「もし北朝鮮産石炭を使用した企業があるとしても、使用の主体が北朝鮮産と認知できなければ、(原産地の)洗浄過程を経て国内に持ち込まれたとしても、制裁の対象にはならない」と説明した。