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[社説]日本に慰安婦“免罪符”を与えようとしたヤン・スンテ最高裁

登録:2018-08-01 22:54 修正:2018-08-02 07:37
韓国最高裁判所=資料写真//ハンギョレ新聞社

 最近2カ月間、次々とあらわれるヤン・スンテ最高裁時期の“司法壟断”疑惑に関しては、もはや驚くまでもないだろう。だが、強制徴用裁判の取り引き痕跡に続き、日本軍“慰安婦”被害者が日本政府を相手に提起した損害賠償請求訴訟まで無力化しようとしたという報道には、惨憺たる思いを禁じ得ない。この間、被害者が一人二人と亡くなったので、怒りと遺憾さは一層ふくらむ。

 ハンギョレの報道によれば、裁判所事務総局企画調整室が2016年1月初めに作成した部外秘文書には、慰安婦被害者12人が日本政府を相手に出す予定だった損害賠償請求訴訟と関連して、1審の結論をあらかじめ「却下」または「棄却」として提示していた。韓国の裁判所は外国の国家を相手に出した訴訟を担当できないという「主権免除」や、対日協定上の請求権消滅などを理由にしたが、朴槿恵(パク・クネ)政府が2015年12月28日に慰安婦問題に関して「最終的で不可逆的に解決された」と宣言したことに主張を合わせたと見ざるをえない。「反人道的犯罪」については主権免除が適用されないという海外の先例や、慰安婦や強制動員被害者の問題は請求権協定で解決されていないと見た韓国の憲法裁判所と最高裁の既存判断にも反するためだ。尖鋭に議論すべき問題なのに、あらかじめ日本に「免罪符」を与えようとしたというのでは、一体どの国の裁判所の文書なのか、疑うほどだ。

 さらに文書には「却下/棄却するものの、日本政府を厳重に咎め、批判世論を揉み消す」という内容まで入っているという。裁判所自らも12・28合意とこうした裁判の結論に対して激しい反発が起きることを明確に知っていたという話だ。日本政府の責任と謝罪を要求して闘ってきた慰安婦被害者を欺瞞するのは勿論、日本政府が(これを)知っていたらと思うと恥じ入らずにはいられない内容だ。現在この裁判は3年経っても1審係留中だが、その間に訴訟を提起した人の半分が亡くなった。

 最近、最高裁が全員合議体に回付することにした「日帝徴用被害者損害賠償請求事件」も、代表的な「裁判取り引き」疑惑に挙げられてきた。2012年、最高裁が日本の戦犯企業の損害賠償責任を認めたのに、ヤン・スンテ最高裁時期の再上告審は延々と引き延ばされてきた。再上告審を先送りする見返りに、裁判所事務総局が外交部から海外派遣裁判官の席をさらに得ようとした情況もあらわれた。上告裁判所設置のためならば、人権も歴史意識も捨てた最高裁判所の素顔、その果てはどこまでなのか。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/855537.html韓国語原文入力:2018-07-30 23:45
訳J.S

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