ヤン・スンテ最高裁長官時代、裁判所事務総局が日帝強制占領期(日本の植民地だった時期)の強制徴用に関する裁判の結論を遅らせる見返りに、外交部から海外派遣裁判官のポストを得ようとしていた情況が追加で明らかになった。司法政策室、司法支援室、企画調整室など事務総局の室・局が総動員されたものと把握された。
25日ハンギョレの取材を総合すると、ヤン・スンテ最高裁長官当時の事務総局は、2013年初めから継続的に徴用訴訟の延期と海外派遣裁判官のポストを連係させる計画を立て、その一部を実行したことが明らかになった。
強制徴用事件をめぐる最高裁の釈然としない態度の変化は、朴槿恵政府発足と軌を一にする。事務総局は2013年、「(2012年の最高裁判決後)日本公使が外交部を訪問し、判決が確定されないよう強く要求した」という外交部の“非公式”な立場を何度も受け付けた。当時は裁判所事務総局が、李明博(イ・ミョンバク)政府の時に中断された海外派遣裁判官のポストを取り戻すために死活をかけていた時期であるため、外交部の“協力”が切実な状況でもあった。
2013年9月、パク・チャニク当時審議官が作成した司法政策室文書はその「青写真」と言える。この文書では「判事の海外派遣」と「高位裁判官の外国訪問時の儀典」などを担当している外交部の立場を反映し、裁判を遅らせる案を検討している。特に、外交部と「手続き的情報を共有」する案の中で、問題提起の少ない「間接的方法」で「被告弁護士(キム&チャン)を通じて外交部の意見書を受け付け」「国外送達を口実に自然に審理不続行の期間を延ばす」と提示している。
その後は企画調整室と司法支援室が協力して役割を分担した。2014年、企画調整室の文書は「調整および和解の試み」、「統治行為と判断する司法自粛論」、「全員合議体判断」など5つのシナリオを検討し「裁判延期案を支持する」という結論を下す。これらの文書には「日本が国際司法裁判所(ICJ)に提訴したらどうするのか」という外交部の立場に“憑依”し、戦々恐々としている部分もかなり登場するという。
事務総局はその見返りとして海外派遣裁判官のポストを得る計画も実行に移した。2015年7月、司法支援室がオーストリア大使館派遣案を推進した文書には、「新日鉄住金事件で、(外交部の)立場を反映」した点を挙げているという。パク元事務局長は2012年の最高裁小部判決で、戦犯企業の賠償責任を認めた当事者だ。イム・ジョンホン元事務総局次長は2015年6月22日、ソン・ヨンワン当時オーストリア大使に送ったメールで「チョ・テヨル外交部2次官に会って(徴用訴訟の)意見書提出を協議した」とし、大使館の裁判官派遣を依頼したという。
検察はまた、司法支援室、企画調整室審議官および室長らが第一線の判事らの個人的な“人脈”まで総動員し、外交部人事担当者らと何度も接触して接待したという判事らの供述も確保した状態だ。