朴槿恵(パク・クネ)政府当時の国家情報院が“企画”したという疑惑が深まっている中国浙江省寧波の北朝鮮式レストラン「柳京」(リュギョン)の女性従業員12人の“集団脱北”事件(2016年4月)と関連して、この食堂の支配人だったホ・ガンイル氏が「(国家情報院が)従業員を連れてくれば東南アジアに食堂を作ってやるとそそのかした」と15日主張した。
ホ氏は聯合ニュースとのインタビューで「私は国家情報院の協力者であり、彼らが私に従業員を連れてくれば韓国国籍を取得させて東南アジアに国家情報院のアジトとして使える食堂を一つ作るから、従業員と一緒に食堂を運営しろとそそのかした」と主張した。ホ氏は「(女性従業員の)大多数が東南アジアで食堂を運営すると思ってついてきて、韓国行きの飛行機に乗って初めて(韓国行きを)知った」と主張した。
ホ氏のこうした主張は「(従業員の)一部はどこへ行くのかも知らずに韓国に来ることになった」というトマス・オヘア・キンタナ国連北朝鮮人権特別報告官の10日の記者会見内容と通じる。
“企画脱北”疑惑がさらに深まっている。だが、韓国政府はまだ「従業員たちは自由意志により入国したと理解している」という公式見解(ペク・テヒョン統一部報道官)を維持し、論議が高まっている。キンタナ報告官は10日、会見で韓国政府に「独立的真相究明と調査を通じて、責任者が誰なのかを糾明しなければならない」と勧告した。
これに先立って“集団脱北”を共にせずに北に戻った「柳京」の女性従業員は、米国のCNN(2016年4月21日)と日本テレビ(2016年9月29日)とのインタビューで、ホ氏が従業員に「東南アジア(マレーシア)に店を移すとだました」と話したことがある。
ホ氏は聯合ニュースとのインタビューで「(韓国行きを)決定できずに躊躇していると国家情報院の人々が私を脅迫した」として、自身の韓国行きも「非自発的」であることを示唆したが、これは以前の主張と相反する。北に戻った女性従業員は「食堂の支配人と南朝鮮の事業家が、南朝鮮政府の指示の下に同僚をだまして南朝鮮行きを企画・実行した」と主張した。ホ氏も2016年、民主社会のための弁護士会(民弁)側と二度の面談で「私がインターネットで韓国映画とドラマを観たという理由で北朝鮮に召還され処罰を受けることが恐くて、韓国に来ることにした」と話したと伝えられている。ホ氏の韓国行きの理由と認知の有無は、女性従業員との食い違いを示唆する。