国軍機務司令部が李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政府時期の「政治工作」はもちろん、朴槿恵前大統領に対する弾劾審判中に戒厳令の宣布まで企画していたことが明らかになった。本来の任務を逸脱し「政権保衛機構」に転落した機務司令部に対する徹底した捜査とともに解体に近い改革が至急必要だという主張が力を増している。
6日、イ・チョルヒ共に民主党議員と軍人権センターは、昨年3月機務司令部が作成した「戦時戒厳および合同捜査業務遂行案」文書を暴露した。この文書によれば、機務司令部は、朴前大統領の弾劾が棄却される場合、衛戍令発令→戒厳令宣言を計画し、衛戍令下で軍が暴行にあったり鎮圧する手段がない時は、デモ隊に向けて発砲できるようにした。また、戒厳令発動の後、軍が政府部署・捜査機関を掌握し、報道機関とソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を統制する方案まで具体的に用意した。
機務司令部は、軍事に関する情報収集および軍事セキュリティー、防諜、犯罪捜査を目的とする国防部直轄の捜査情報機関だ。だが、過去の軍事独裁時期から政権保衛機構として悪名を駆せてきた。機務司令部の前身である国軍保安司令部は、1980年5・18民主化運動以後に遺族間の分裂を助長して民心を歪曲するために緻密な工作を行っていたことが昨年の調査であらわれた。李明博政府時期には「狂牛病牛肉波紋」で困難に陥った大統領府に「コメント世論工作」を初めて企画・提案し、コメント部隊も別途に運営した。予備役・保守団体などいわゆる軍辺団体を動員して「政府側デモ」を主導し、2014年4月のセウォル号惨事の後には機務部隊員60人で構成されたTF(タスクフォース)を組織して、遺族を査察した事実もあらわれた。
これに対し、これまでまともな監視と牽制を受けなかった機務司令部に対する強力な捜査がなされなければならないという声が高まっている。5月に国防部傘下の機務司令部改革TFがスタートしたが、民間委員には押収捜索などの強制捜査権限がなく、実質的な調査につながりにくい状況だ。機務司令部は5日、資料を出し「『国軍機務司令部改革委員会』を構成し、政治介入および民間査察の根絶、特権放棄を中心に、機務司令部の名称と組織、規模に対して総合的に検討している」と明らかにした。
政界も機務司令部の違法行為に対する真相究明と全面改革を要求している。チェ・ソク正義党代弁人は「国民に向けて軍が発砲計画まで立てていた」として「(これは)軍事独裁の残影が依然として機務司令部を覆っている証拠だ。機務司令部は直ちに解体されてこそ当然」と批判した。これまで内部文書の発掘を通じて機務司令部の政治介入形態を暴露してきたイ・チョルヒ議員も「機務司令部の慢性的な政治介入を源泉遮断する高強度の改革が推進されなければならない」と強調した。