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「労働者を死なせた企業はいかなる処罰も受けていない」労働者支援団体らが記者会見

登録:2018-07-02 23:55 修正:2018-07-03 07:36
サムスン半導体で仕事をして白血病で死亡した故ファン・ユミさんの父親ファン・サンギ氏(最前列右から5人目)が2日午前、ムン・ソンミョン源進労災死亡30周忌追悼委員会、パンオルリム、民衆共同行動の主催で開かれた記者会見で発言している//ハンギョレ新聞社

 「今日がサムスン前で座り込みを始めてからちょうど1000日目です。今までサムスンの半導体・LCD工場で働いて“パンオルリム”(半導体労働者の健康と人権守り)に情報を提供してきた方だけで3百数十人いて、そのうち118人が亡くなりました。銃を撃って人を殺した人は殺人罪で処罰されますが、化学薬品で労働者を死なせた企業はいかなる処罰も受けていません。このままではいけません」

 2007年に白血病で亡くなった故ファン・ユミさん(当時22)の父親ファン・サンギ氏は2日、ソウル市光化門(クァンファムン)の世宗(セジョン)文化会館階段で開かれた記者会見でこのように話した。この日は、ソウルオリンピックの準備が真っ盛りだった1988年7月、ムン・ソンミョン君(当時15)が水銀中毒で亡くなってからちょうど30年になる日であり、パンオルリムがソウル市瑞草洞(ソチョドン)のサムスン電子本館前で座り込みを始めてから1000日になる日だ。圧力計期と温度計の製造企業で仕事をして水銀中毒に罹ったムン君の死は、韓国社会に初めて労災の問題を知らせる契機になった。

 ファン氏は「当時ムン・ソンミョン君はまともな化学薬品教育を受けられなかった。私たちのユミも学校でこれに関していかなる教育も受けられなかった。卒業後に90%以上が労働者になるにもかかわらず、未来の労働者に労働教育や化学薬品教育をしていない。学生たちに、今からでも労働環境教育をしなければならない。それでこそ病気にかからず死にもしない」と話した。

 この日の記者会見は「ムン・ソンミョン源進労働者労災死亡30周忌追悼組織委員会」と民衆共同行動、パンオルリムなどが開いた。30年前の7月は、ムン君だけでなく915人が二硫化炭素中毒に罹り、230人が死亡した「源進レーヨン職業病」が初めて知られた時でもある。この事件を契機に、韓国社会では本格的な労働安全保健運動が始まった。

 ムン・ソンミョン源進労災30周忌追悼委代表を務めたキム・ミョンファン民主労総委員長は「一昨年、サムスンとLGの携帯電話部品下請工場で不法派遣により仕事をした7人の青年たちがメタノール中毒で失明した。19歳の青年が、地下鉄のスクリーンドアを一人で修理していて死亡し、現場実習中の特性化高校の生徒が死亡した。若い青年たちの死が今も繰り返される凄惨な現実を、これ以上見過ごすことはできない。国会は、重大災害を量産し労働者の命を脅かす企業に対して、明確な処罰法を作らなければならない」と強調した。

 源進レーヨン被害労働者を代表したハム・ミジョン源進労災労働者協議会事務局長は「源進レーヨンの労働者は、余生を二硫化炭素中毒という絶望の中で生きている。廃棄すべき老朽機械、最低限の安全装備も換気施設もなかった源進レーヨンの労災は、すでに予想されたことだった。労働者が望むことは簡単だ。健康権が優先されるということだ。労働者は道具ではない。この地のすべての労働者が、労働の貴さと人生の幸福を営み人間らしく生きられるよう、労災がなくなるその日まで力強く闘う」と話した。

 今年5月に発足したムン・ソンミョン源進労災30周忌追悼委には、先月末現在で122団体と2900人の労働者・市民が追悼委員として参加している。追悼委は、安全権の保障、重大災害企業処罰法の制定、化学物質を知る権利の完全保障などを主な議題として掲げ、各種の広報・追悼事業を進行中だ。「産業安全保健強調週間」でもある7月第1週には「半導体職業病と認定事例セミナー」(3日午前、ソウル市三成洞のコエックス)、「サムスン包囲の日」行事(4日夕、ソウル市瑞草洞のサムスン電子社屋前)をはじめ、労働安全保健課題大討論会(17日午後、ソウル市中区のフランチスコ会館)を開く。

パク・キヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/851515.html韓国語原文入力:2018-07-02 21:29
訳J.S

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