米国と中国の“貿易戦争”が“休戦”合意から10日目にして再発した。
ホワイトハウスは29日、25%の高率関税を賦課する500億ドル規模の中国産商品目録を6月15日に公開すると明らかにした。ホワイトハウスは、これと同時に即時賦課されると話した。また、中国企業による米国先端技術企業の合併を防止する措置も6月30日に発表することにした。このニュースに米国証券市場が1%台の下落を記録し、30日には中国・韓国・日本の証券市場も1.5~2.5%下落した。
500億ドル分の製品に対する高率関税は、ドナルド トランプ行政府が公開した合計1500億ドル相当の商品に対する関税賦課措置の最初の具体案だ。ホワイトハウスの官吏は、残りの1000億ドル分に対する措置も続くことがあると威嚇した。
トランプ行政府は、3~4月に合計1500億ドル分の中国製品に対する高率関税賦課計画を明らかにして火ぶたを切った。それに対して中国は、報復関税を賦課するとして対抗した。だが、米中は二度の交渉の後に今月19日に共同声明を通じて、中国が米国産商品の購買を増やし3750億ドルに及ぶ対米貿易黒字を減らす妥協案を発表した。その後、スチーブン・ムニューシン米財務長官は「貿易戦争は留保されたと明らかにした。また、ウィルバー・ロス商務長官が6月2日に北京を訪問し、中国と追加交渉をする予定だった。
米国政府の突然の発表に、中国は直ちに反発した。華春蛍・外交部報道官は30日「毎度態度を変えて、ああだこうだと言うことは、自国の信用と名誉を再び消耗し浪費すること」とし「中国は貿易戦争をしたくはないが、恐れることもない。敵軍が攻めて来れば、将軍を送って防ぎ立ち、洪水が押し寄せれば土で堤防を積む」と述べた。彼女は「米国が意地になってみだりな振る舞いをするならば、中国は固くなり強力な措置で正当な利益を守る」と警告した。
ホワイトハウスが強硬カードを持ち出したのは、今週末に控えた中国との3回目の交渉のための圧迫戦術と見られる。米国は中国が“核心利益”と明らかにしてきた南シナ海でも圧力を強めている。米海軍は27日、中国が領有権を主張して軍事施設を設置した南シナ海のパラセル諸島(中国名 西沙諸島)周辺に艦船2隻を投じる「航行の自由」作戦を展開した。ジェームズ・マティス国防長官は29日、この作戦を継続すると念を押し、中国の南シナ海領有権主張は国際法違反だと批判した。
米国の措置が座礁の危機から回復した朝米首脳会談に関連しているという分析もある。トランプ大統領は22日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に会った際に、習近平中国国家主席を「ポーカープレーヤー」と批判して、北朝鮮が強硬な立場に転じた背後には中国がいると述べた。ニューヨークタイムズは、朝米首脳会談の回復により、トランプ大統領は中国に強硬に出る裁量を確保したと指摘した。
これまで対中貿易交渉は、関税賦課などの措置は米国の長期的利益を害するという立場のムニューシン財務長官とウィルバー・ロス商務長官が主導してきた。その結果、中国が米国産製品の購買を増やし、貿易黒字を減らす妥協案の枠が決まった。だが、これは当初トランプ行政府が公表した期待に及ばないという指摘が議会などで提起された。最近は、米国の制裁で破産の危機に置かれた中国の通信装備業者ZTEに対して、トランプ大統領が電撃的に“回生”措置を取ったのは娘のイバンカが中国内での事業許可を受けた見返りという指摘も出た。
こうした状況で、対中強硬派であるホワイトハウスのピーター・ナバロ貿易・製造業政策局長と貿易代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表が再び前面に出た。ライトハイザー代表は、中国の貿易システム変化のためには、依然として必要な「本当のこと」があるとし「私たちの技術を保護するために関税、投資制限、輸出規制などすべての法的手段を使う」と明らかにした。