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坑道にクモの巣のように爆薬線を張り「ドンッ」…核実験場廃棄の現場取材記

登録:2018-05-26 09:21 修正:2018-05-26 14:13
24日、北朝鮮核兵器研究所の関係者が咸鏡北道吉州郡豊渓里の核実験場閉鎖のための爆破作業を行った。豊渓里核実験管理指揮所施設の爆破の瞬間、木造建物が爆破され粉々になっている=豊渓里/写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

午前8時19分、海抜1300メートルの現場に到着  
カン・ギョンホ核兵器研究所副所長が待機 
核実験場の廃棄方法・順序のブリーフィング 
幅2メートルの2番坑道入り口に爆薬配置 
午前11時、轟音と同時に最初の爆破 
午後2時17分、4番坑道爆破 
3番坑道は爆破後30分間にわたり崩壊 
午後4時17分「成功裏に終わった」

 「ここは吉州載徳駅で、坑道まで21キロ、バスに乗って核実験場まで行きます。海抜高度が1300メートル以上なので健康に注意してください」

 24日午前6時15分、韓国・米国・中国・英国・ロシアの5カ国の取材陣が元山(ウォンサン)駅から11時間列車で走り、咸鏡北道吉州郡(キルチュグン)の「北部核実験場」近くの載徳駅に降りた。南側取材陣は3番の車に乗り、午前8時19分、豊渓里核実験場の2番坑道入り口に到着した。現場にはカン・ギョンホ核兵器研究所副所長を含め、関係者20人あまりが出てきていた。「風の吹く谷」(豊渓里)という名にふさわしく、渓谷に沿って砂風が吹いてきた。

 「数字の1が表記された東の坑道は、2006年に最初の核実験を成功裏に進めた後に廃棄しました」。2009~2017年に5回の核実験が行われた2番坑道のそばで、カン副所長が取材陣に「北部実験場の廃棄方法と順序」に関する説明を始めた。彼は北の2番坑道は5回の「成果のある」核実験にもかかわらず「現在まで測定資料によると、放射性物質の流出は全くなく、周囲の生態環境も非常にきれいだ」と話した。南の3番坑道は二つの坑道でつくられ、核実験ができるすべての準備が整っていると説明した。カン副所長はさらに、「数字の4が表記された西側の坑道は、威力が非常に大きな核実験を安全に進行できるよう特別に準備した坑道」だと強調した。

 彼は先月20日、労働党中央委員会第7期3次全員会議の決定後、(1)全ての実験準備と工事を直ちに中止(2)実験設備やケーブル類、情報通信および動力系統実験の手段を解体し撤退、研究者撤収(3)空気配管、圧縮機、レール、運搬設備などの工事手段を解体し撤退、工事・整備の人員撤収まで3段階の準備作業が進められていると明らかにした。4番目の段階がこの日行われる坑道と地上建物の爆破だ。

 取材陣は黄色の安全帽をかぶり、2番と4番の坑道入り口を見て回った。アーチ型の鉄門の内側の2番坑道は、幅2メートル、高さ2.5メートルで、入り口から2メートル程離れた場所に爆薬が置かれていた。門と壁の天井まで木で作られた4番坑道には、爆薬線がクモの巣のように張られていた。床には爆薬と見られる白い粉がビニールの中に入った状態で置かれていた。

 2番坑道の爆破を見ようと西側の山の中腹の簡易観測所に行った。「撮影準備はできたか」「撮影準備できた」「注意」「3、2、1」と大きな声が聞こえた。午前11時00分、重い轟音とともに坑道入り口の土と砕けた岩があふれ出てきた。入り口が4~5メートルほど崩れた。核兵器研究所の関係者は「壁にダイナマイトを埋めて崩れるようにした。8つの爆薬を埋めた」と話した。ある記者が核実験場の廃棄が透明に行われたということをどうやって知ることができるかを問うと、核兵器研究所の関係者は「記者たちが見たように、外で爆破して中から噴出したではないか」と言い、「内と外の2回に分けて爆破した」と答えた。実際に現場映像を見ると、岩の破片などが外に噴出する様子を見ることができる。しかし、坑道内のどれほど深いところまで爆発物が設置されたのかは確認できなかった。

 平壌ナシ、サンドイッチ、リンゴが入った弁当は、午後に爆破が予定された軍用テントの隣りで提供された。テントの軒にツバメの巣を発見したある記者が「ツバメは放射能に敏感だというが」と言うと、北側の関係者は「それだけ放射能がないという話」だとし、「アリも放射能に敏感だがとても多い」と自慢した。「朝鮮中央テレビ」の記者は小川の水を勧めた。彼は「販売している神徳泉の水は(水素イオン濃度)ph7.4だが、この水はph7.15で飲むのに良い。放射能汚染はない」と話した。

 南の3番坑道内部はコンクリートの壁でできていた。取材陣は残りの「廃棄儀式」を見ようと、4番坑道から300メートル離れた東の山の中腹の観測所に上がった。午後2時17分、4回の坑道爆破を皮切りに、鍛冶場、生活棟の5棟が轟音と共に巨大な雲を上げながら崩れ落ちた。花崗岩地帯の深い所に位置した3番坑道は、爆破後30分以上にわたり岩が砕け落ちた。4時17分、最後の爆破の後、北側の関係者たちは「すべてが成功裏に終わった、おめでとう」という言葉を交わした。6時間にわたる廃棄儀式が終わった。

 取材陣は午後6時27分に再び元山行きの列車に乗った。真夜中になって朝米首脳会談が中止になったというニュースが伝えられた。北朝鮮が世界の耳目を集め「完全な非核化」に向けた第一歩を踏み出した夜に伝えられた「悲報」に、列車内はざわめいた。

共同取材団、キム・ジウン、ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/846317.html韓国語原文入力:2018-05-25 22:15
訳M.C

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