1980年5月19日、当時女子高生だったAさんは、光州(クァンジュ)のある学校から家に帰る途中、他の女性2~3人と共に軍人らに集団性的暴行を受けたと証言した。また、同年9月4日、5・18関連者と捜査を受けていたキム・ソンオクさんは戒厳軍合同捜査本部の捜査官に性的暴行を受けた。この他に、光州民主化運動当時、戒厳軍や捜査官に性的暴行やセクハラを受けた事例はいくつか報告されている。しかし、光州抗争当時の女性に対する性暴力や拷問などの全体の被害状況は、まだ把握されていない。
最近、ハンギョレの連続報道を通じて、当時光州で戒厳軍と捜査官たちから性的暴行やセクハラを受けたという証言が相次いで出たことを受け、国会には真相究明の範囲に「性暴力」を含む「5・18民主化運動の真相究明のための特別法」改正案が提出された。現行法では真相究明の範囲を「死亡・傷害・行方不明・密葬」と定めているが、ここに「性暴力」(チェ・ギョンファン民主平和党議員が代表発議)を加えるか、「性暴力犯罪の処罰などに関する特例法」の規定する「性暴力犯罪」(ソン・クムジュ無所属議員が代表発議)を追加したのだ。
集団発砲の真実究明と処罰も重要な問題だ。1980年5月20日夜10時30分、光州駅での戒厳軍による最初の発砲と、21日昼1時に行われた道庁前での初の集団発砲は、光州事件の責任の所在を決める重要な事件だ。しかし、1995~1997年の検察の捜査では、当時の発砲命令者を起訴せず、裁判所も誰にも責任を問わなかった。全斗煥(チョン・ドゥファン)など5人は5月27日、都庁掃討作戦(尚武忠正作戦)に対してのみ、内乱目的殺人罪で有罪判決を言い渡されただけだ。
今年9月、「5・18真相究明特別法」によって真相究明委員会が活動を始めれば、約20年前の捜査と裁判当時には対象にならなかった性的暴行の加害者や集団発砲の命令者、ヘリコプター射撃の責任者などを調査することになる。新たな証拠が明らかになれば、全斗煥などの加害者を追加起訴したり、反人道的犯罪で処罰できるという意見も活発に提起されている。過去の軍保安司令部と国防部などが構成した「5.11研究委員会」が光州抗争を歪曲・捏造したことに対する真実究明も、調査範囲に含まれている。一部で提起してきた北朝鮮軍介入と北朝鮮軍侵入の捏造についても、真偽を検証する。
5・18の被害者たちのための法と制度の整備も進められている。今月16日、ノ・ウンレ共に民主党議員は5・18民主化運動関連特別再審請求の対象を拡大する内容の「5・18民主化運動などに関する特別法」改正案を代表発議した。現行法は、5・18民主化運動と関連した行為や1979年12・12軍事反乱と1980年5月18日を前後にして発生した「憲政秩序破壊犯罪行為」を阻止したり反対した行為で有罪確定判決を言い渡された場合にのみ、特別再審議を申請できる。
これに比べ、ノ議員が代表発議した改正案は、特別再審対象範囲を拡大し、5・18民主化運動と関連した一般刑事事件を追加し、他の犯罪と共に有罪確定判決を受けた場合にも、特別再審を申請できるようにした。5・18民主化運動に実際に貢献しても、他の犯罪が追加されて特別再審を請求できなかった人を救済するためだ。このほか、死亡者が秘密裏に埋められていると推定される場所の調査と発掘、歪曲と非難を防ぐ制度的装置が必要だという建議が相次いだが、まだ進展が見られない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が公約した民主人権記念パークの造成と国家トラウマ治癒センターの建設など、光州抗争被害者を治癒するための事業もスピードが遅れている方だ。
キム・ヒソン全南大学5・18研究所研究教授は、「解決すべき課題があまりにも多岐にわたっており、国家と市民が果たすべき役割がそれぞれ異なる。政府は、今後の真相究明委員会の活動が十分に実現できるよう支援し、市民は5月精神が人権と平和として花開くように社会の雰囲気を変えていかなければならない」と話した。