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国家情報院、ベトナム戦争での民間人虐殺関連情報公開めぐり二転三転

登録:2018-05-11 07:09 修正:2018-05-11 09:22
国家情報院//ハンギョレ新聞社

 国家情報院が「国家安保」を理由に、ベトナム戦争当時民間人虐殺関連の情報を「非公開」にすることに決定していたが、それから8カ月後「情報そのものが存在しない」として、立場を翻した。国情院は「担当職員の誤解によるミス」だと釈明した。

 このような事実は、イム・ジェソン弁護士が国情院に対し情報公開請求訴訟を起こす過程で確認された。イム弁護士は昨年8月、「国情院の前身である中央情報部が1969年11月にベトナムのクアンナム省にあるフォンニィ・フォンニャット村虐殺事件に関与したとされる3人の参戦軍人に対する調査を行った後、作成した文書リストなどを公開してほしい」と国情院に請求した。イム弁護士など「民主社会のための弁護士会」所属の弁護士らは、ベトナム虐殺被害者を代理して国家賠償訴訟を準備している。

 国情院はイム弁護士の請求に直ちに「非公開」処分を下した。調査文書目録はあるが、国家安保に関わる内容であるため、公開するのは不適切という理由からだ。しかし、国情院は先月27日、裁判所に「調査リストそのものが存在しない」という内容の意見書を提出した。そして、「担当公務員が請求情報を文書の“リスト”ではなく、“文書”そのものだと思って(非公開)処分した」と釈明した。

 しかし、このような説明は、情報公開法規定からみても常識的ではないというのが専門家らの意見だ。公共機関の情報公開に関する法律は「公共機関が保有・管理する情報について情報リストを作成しなければならない」と規定している。文書はあるが、そのリストを作成したり管理しているわけではないというのは、法の趣旨にも合わないという指摘だ。

 一部では、国情院がベトナム虐殺関連の調査文書が公開されるのを防ごうとしているという批判の声もあがっている。裁判所がリストの公開を命じる場合に備え、リストの存在を否定している可能性があるという分析だ。ひとまずリストが公開されれば、リストに記載された個別情報が公開される可能性も高まる。通常、情報公開請求の際は、情報リストを先に確認した後、リストに記載された情報を具体化して再び公開を要請するからだ。

 「国家安保」や「外交関係」を盾に情報公開を避ける国情院の慣行を変えるべきだという指摘もある。国情院は裁判所に提出した意見書で、「ベトナム政府は民間人虐殺問題が公論化されれば、ベトナム国民の間に内部(対立)問題が生じることを懸念している」と主張した。イム弁護士は「韓国国家機関が50年前に(民間人虐殺を)調査した事実があるかどうか確認しようとしているだけなのに、それがベトナムの内部問題や外交問題に直結するというのは理解し難い」と話した。

ヒョン・ソウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/844163.html韓国語原文入力:2018-05-11 04:59
訳H.J

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