平壌で開催すれば
1972年、劇的に米中和解した
「ニクソンの北京行き」に匹敵する波及力
抑留米国人と共に帰還すれば
トランプ大統領の外交的成果「一石二鳥」
板門店で開催すれば
1989年のマルタより象徴的な場所に
分断から非核化・平和の道しるべに
大統領府でも内心板門店開催を期待
文大統領が電撃的に合流する可能性も
今月末に開かれる朝米首脳会談の場所が平壌(ピョンヤン)と板門店(パンムンジョム)の2カ所に絞られている。朝米は2カ所をめぐって最後の駆け引きを繰り広げている。
ドナルド・トランプ米大統領が平壌を選択するならば、1972年のニクソン元大統領の北京訪問に匹敵する劇的な歴史的効果を考慮した可能性もある。ニクソン大統領が、鋭く対立していた冷戦期に文化大革命が行われていた中国の首都北京を訪問し、毛沢東主席と劇的な米中和解を果たすことで冷戦の軸を揺さぶったように、トランプ大統領がこの前まで核・ミサイルをめぐり攻防を繰り広げた北朝鮮の首都平壌を訪問し、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に会うことは、まさに世界史的事件といえる。
トランプの最側近として、朝米首脳会談の準備に取り組んでいるマイク・ポンペオ国務長官の最近の動きも、ニクソンの訪中を演出したヘンリー・キッシンジャー国家安保補佐官を思わせる。1971年7月、キッシンジャー国家安保補佐官は北京を極秘訪問し、周恩来首相と米中国交樹立の原則に合意しており、これを基盤にニクソン大統領の中国訪問と米中和解が実現した。ポンペオ長官がイースター(復活祭)連休中に平壌を極秘裏に訪問し、金正恩委員長との面会で非核化などを具体的に協議してから、トランプ大統領の平壌訪問や非核化、平和協定、北朝鮮の改革開放などが続くなら、トランプ大統領はニクソン大統領の米中和解を超える歴史的評価を期待できる。さらに、北朝鮮に抑留された米国人3人をトランプ大統領が直接連れて帰還できることも、11月の中間選挙を念頭に置いて「外交的成果」を際立たせなければならないトランプ大統領が考慮できる点だ。
板門店カードも依然として有効だ。板門店は先月28日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領とトランプ大統領が電話会談で、朝米会談場所として話し合った2~3ヵ所の候補の一つだと言う。板門店は破格の面では平壌に劣るかもしれないが、象徴性においては決して引けを取らない。南北分断の象徴だった板門店は、先月27日の南北首脳会談を機に、非核化と平和の象徴として生まれ変わった。大統領府関係者は1日「分断を乗り越え、新たな平和への道しるべを立てる場所として、板門店にはかなりの意味がある」と話した。先月、イム・ジョンソク大統領秘書室長は「もし、板門店が朝米会談の場所になれば、(1989年、米ソ首脳が冷戦の終焉を公式宣言した)マルタ会談よりもっと象徴的に発展できるだろう」と述べた。
板門店は、複雑な儀典を果敢に省き、朝米両首脳が朝鮮半島の完全な非核化という議題に集中した会談を進めるにも適した場所だ。南北首脳会談の時も、文大統領と金委員長は儀典手続きを最小化し、徒歩橋散策など、密度の高い会談を行った。大統領府の立場からすると、板門店は、文大統領が強調するスピード感のある南北首脳会談の後続措置の履行の面でも望ましい場所だ。大統領府は、板門店で朝米会談が開かれ、会談が成功裏に終わった場合、直ちに文大統領がトランプ大統領と金委員長に合流し、終戦宣言と平和協定の締結を取り上げる南北米首脳会談を開くのが最善策と見ている。こうなれば、朝米首脳会談前に計画した別途の韓米首脳会談を開く手間も省ける。
大統領府は朝米会談の当事者ではないだけに、場所に関して最大限慎重を期している。ユン・ヨンチャン国民疎通秘書官は記者団に送ったショートメールで、「現在、朝米会談の場所や時間などは何も決まっていない」とし、「決定の主体(朝米)が決定するのを待っている状態だ」とした。大統領府関係者は「第3者の関与するような印象を与えるのは、朝米首脳会談の役に立たない」と話した。