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北朝鮮の“非核化”はどのように?…過去の核、現在の核、未来の核は解決法が異なる

登録:2018-04-22 22:46 修正:2018-04-23 07:28
北朝鮮が労働党の全員会議で、豊渓里核実験場の廃棄決定を採択したと朝鮮中央通信が21日報道した。写真は朝鮮中央通信が昨年11月に報道した大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星-15」試験発射の様子/聯合ニュース

 北朝鮮が追加核実験と弾道ミサイル試験発射の中断を公式化した。南北-朝米首脳会談を控え、非核化に対する意志を明確にするために、いわゆる“未来の核”カードを先制的に放棄したわけだ。

 北朝鮮の非核化過程で扱われるべき“核カード”は、二重の“3種セット”だ。まず武器体系についてみれば、核兵器の原料になる核分裂物質▽組立・完成された核弾頭▽核弾頭を運搬する弾道ミサイルがある。これを時点を中心に見れば、すでに完成した核武器(過去の核)▽核物質生産など現在進行中の核兵器関連プログラム(現在の核)▽今後の核兵器開発・高度化のための核・ミサイル実験(未来の核)に分けることができる。

 “未来の核”に対する憂慮は、北朝鮮が労働党中央委員会全員会議を通じて明らかにした核・ミサイル追加試験中断宣言で解消された。かつては交渉を通じて出した核・ミサイル・モラトリアム(試験猶予)を、北朝鮮側が交渉に先立って予め出したことは、今後の交渉の展望を明るくするための措置と見られる。ク・ガブ北韓大学院大学教授は「北朝鮮が交渉前に未来の核を取り出して、いわゆる“双中断”(韓米軍事演習と核・ミサイル実験の同時中断)の北朝鮮側の役割が完成された」として「核兵器の先制不使用と核兵器の移転・拡散をしないという言葉まで明らかにし、交渉に先立って米国が願うすべての内容を満たした形」と指摘した。

 朝鮮半島非核化のための朝米交渉が始まれば、“現在の核”と“過去の核”の廃棄に対する手続きと方法に議論が集中する展望だ。朝米が交渉を通じて一括妥結に合意しても、実際の非核化過程は短期間に終えられる事案ではない。現在進行されている核プログラムの中断と廃棄、完成品形態で保有している核兵器の廃棄のためには、まず国際原子力機構(IAEA)視察団が北朝鮮に派遣され、検証・査察の手順を踏まなければならない。これを通じて核関連施設の申告と閉鎖・不能化・廃棄の段階を経て、最終的に北朝鮮核廃棄の手順を踏むことになる。

 北朝鮮の現在・過去の核能力に対する評価は交錯している。昨年7月に公開された資料で、米国防情報局(DIA)はこれまでに生産された核分裂物質で北朝鮮が最大核弾頭60発を生産できるとし、弾道ミサイルに装着可能な核弾頭の小型化にも成功しただろうと評価した。

 一方、米国核科学者協会報が最近出した「2018北朝鮮核能力報告書」によれば、昨年末基準で北朝鮮が生産した核分裂物質は、プルトニウム20~40キロ▽高濃縮ウラニウム250~500キロだ。この団体は北朝鮮が年間に核弾頭6~7発の製作が可能な核分裂物質生産能力を保有していて、今までに完成した核弾頭は16~32発程度と推定した。

 実際の交渉では、核物質・核弾頭とともにいわゆる“運搬手段”である弾道ミサイルも比重を持って扱われることになる。北朝鮮は、日本などを打撃圏内におくノドンミサイル(射程距離1200キロメートル)をはじめ、グアムなどを打撃できる中距離ミサイル(IRBM)火星-12型(射程距離3300~4500キロメートル)、米本土を打撃できると評価される大陸間弾道ミサイル(ICBM)級火星-15型(射程距離1万3000キロメートル)をすべて備えている。

 チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院首席研究委員は「(咸鏡北道吉州郡(キルジュグン)の豊渓里(プンゲリ))核実験場の廃棄は、これまではやめるだけだった非核化意志を一部不能化措置で実質化した」とし、「経済発展に集中するという宣言と共に発表されたという点から見て、明らかな路線転換であり、過去・現在の核廃棄は交渉の結果として出てくることになるだろう」と話した。

チョン・インファン、キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/841566.html韓国語原文入力:2018-04-22 17:13
訳J.S

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