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サムスン「労組組合員減少」の実績報告…組織的な“偽装閉業”を実行

登録:2018-04-12 05:59 修正:2018-04-12 07:52
ソウル瑞草区のサムスン社屋=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 サムスン電子サービスが、労組の組合員が多い地域センターの“計画的な偽装閉業”などを通じて、労組破壊工作を行なった後、その成果で組合員が減ったという趣旨の実績報告書を提出した事実が11日、確認された。段階別閉業シナリオに沿って、釜山(プサン)海雲台(ヘウンデ)センターなどを偽装閉業し、協力会社の社長団にマスコミインタビューに備えた教育まで実施した。

 また、サムスン電子サービスが作成した労組破壊工作シナリオの「マスタープラン」文書には、雇用部が「サムスン電子サービスが違法派遣を行っている」という結論を下すのを防ぐための対応戦略も含まれていることが分かった。検察は同日、サムスン電子サービス協力会社の労働者で構成されたサムスン電子サービス支会のナ・ドゥシク支会長など労組関係者2人を参考人として呼び、具体的な被害事例を調査した。

■「企画偽装閉業」疑惑、文書で確認

 ハンギョレの取材の結果、ソウル中央地検公共刑事捜査部(部長キム・ソンフン)がサムスン電子から押収した6千件の文書には、2013年末「1000人を超える協力会社の従業員らが組合に加入したが、会社の対応で約800人まで減るなどの実績をあげた」というサムスン電子サービス側の報告書などが含まれていることが分かった。文書で言及した対応とは、2013年7月に設立されたサムスン電子サービス支会に対して、労組分裂を誘導し、效果がない場合は事務所を閉鎖して偽装閉業を進める案だった。

 また、一部の組合員を買収する方式の「友軍化戦略」を実行したり、非組合員に仕事を集中的に発注する方式で「労労対立」を誘導した内容も盛り込まれていたという。サムスン電子サービスの従業員らは協力会社所属の間接雇用労働者であり、給料も月給ではなく、1件当たりの手数料として支給されるため、仕事がなければ収入が大幅に減る点を活用したのだ。実際2014年5月、労組弾圧などに抗議し命を絶った労組員ヨム・ホソク氏が3月と4月に受け取った給料はそれぞれ70万ウォン(約7万円)と41万ウォン(4万円)だった。

 これと共に会社側が直接「閉業シナリオ」を作成し、協力会社のセンター社長らを対象に教育に乗り出す一方、マスコミインタビューに備えた演習までさせたという。特に、会社側は労組無力化の一環として、センター内・外回りの全ての従業員が組合員だった釜山海雲台センターが担当した核心区域の海雲台区佐洞や佑洞、中洞地域の委託業務を一方的に撤回し、本社職員に担当させたという。それでも労組が動揺しないと、2014年2月「経営上の困難」と「代表取締役の健康問題」などを理由に労組に一方的な閉業を通知した。続いて閉業した忠清南道牙山(アサン)と京畿道利川(イチョン)センターも労組活動が活発だったところだった。閉業後には自社ホームページに協力会社募集の公告を掲載し、閉業で職場を失った組合員たちは再雇用しなかった。これまで取り沙汰されてきたサムスンの「企画閉業疑惑」が、今回押収された文書にそのまま盛り込まれていたわけだ。

■雇用部の「違法派遣」判断の阻止に総力

 検察が確保した約20ページの「マスタープラン」(2013年7月、サムスン電子サービス作成)は、労組切り崩しに向けた構想だった。対応戦略は大きく分けて、雇用労働部への総力対応▽組合活動への対応▽サービス支会の切り崩し▽協力会社の安定化など、4つだった。

 サービス支会の切り崩しに関しては、シム・サンジョン正義党議員が公開した「Sグループ戦略文書」の内容同様、「労組設立の状況が発生した場合は、グループの労使組織や各社の人事部署と協力体制を構築し、早期に切り崩してほしい。早期の切り崩しができない場合は、長期戦略を通じて枯死させてほしい」という内容が含まれている。サムスングループの労使戦略がサムスン電子サービスでもそのまま実行されたことが分かる。

 「雇用労働部への総力対応」部分も注目に値する。2013年6月の「サムスン電子サービス偽装請負共同対策委員会準備委員会」(サムスン共対委)は、サムスン電子サービスが協力会社と形式上の請負契約を締結しているものの、実質的には直接労働契約関係か違法派遣の関係にあるという陳情書と告発状を雇用労働部に提出した。これに対し、「マスタープラン」には雇用部への対応と関連し、適法契約という判断の誘導▽労働部に出席するサムスン社員に対する事前教育▽状況の終結まで該当選挙区の国会議員事務室への持続的な訪問などの内容が含まれていたという。同年9月、雇用部は勤労監督の結果を発表し、「議論の余地はあるが、総合的にみて違法派遣ではない」と発表した。

ソ・ヨンジ、パク・テウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/840199.html韓国語原文入力:2018-04-11 21:07
訳H.J

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