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標的監査・労組反対デモを企画…サムスン、段階別“瓦解工作”赤裸々に

登録:2018-04-10 07:01 修正:2018-04-10 08:55

労組設立・拡張・交渉の段階別戦略細分化
協力社の社長団会議など非常体系稼動
不当転補・休日強制勤務で脱退圧迫
脱北者に対し「また北に送ることもあり得る」
交渉遅延…標的監査後もみ消し“懐柔”

「蔚山発アクションプラン」執行疑惑
離婚・金銭問題など個人別懐柔資料収集
中心の組合員は業務妨害など法的対応に
代替人力不法投入情況あらわる
“廃業圧迫”を超え、実際に廃業実行

サムスングループ系列会社の労組員らが3日午前、ソウル瑞草洞のサムスン電子本館前で記者会見を開き「労組無力化の中断と不法査察への謝罪」を要求し、イ・ジェヨン副会長が「結者解之」の心で労働組合との面談に取り組むよう促している=カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社

 サムスンの「ダース訴訟費代納」疑惑から始まった検察捜査の刃が、サムスンの労組弾圧疑惑をだんだん深く掘り下げている。ソウル中央地検公共刑事捜査部(部長キム・ソンフン)は、最近サムスン電子人事チームの職員から確保した4つの外付けハードディスクに保存されていた文書4万件あまりを分析する過程で、労組対応指針文書である「マスタープラン」を含め不当労働行為疑惑と関連する文書を6000件あまり見つけた。

 特にこれらの文書の相当数は、サムスン電子のアフターサービス業務を担当する協力会社職員で構成された労組であるサムスン電子サービス支部が設立された2013年7月前後から去年まで続いたサービス労組瓦解工作などと関連する内容と伝えられた。サムスンはグループの核心系列会社であるサムスン電子に労組が設立されれば、「無労組経営戦略」が崩れるということを憂慮したものと見られる。 特に「マスタープラン」文書は、労組設立から活動まで段階を分けて「標的監査」「団体交渉遅延」「労組デモの際反対デモ企画」など、労組設立妨害および瓦解戦略を具体的に摘示している事が明らかになった。検察は過去5年間行なわれてきたサムスン電子サービス支部弾圧が、実際にサムスン文書の「労組破壊シナリオ」に従って執行された可能性を集中的に探る予定だ。 このため、近いうちにサムスン電子の関連役職員とサムスン電子サービス支部関係者などを呼んで調査する方針だ。

クァク・ヒョンス全国金属労組サムスン電子サービス支部副支会長(左)とチョ・ビョンフン代表事務長が9日、金属労組サムスン電子サービス支部事務室で、労組弾圧に対抗して命を絶った故ヨム・ホソク、故チェ・ジョンボン組合員の遺影写真を見せている=キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

■ 「労組を脱退すれば“標的監査”免れさせてやる」

 8日のサムスン電子サービス支部の説明と関連文書内容などを総合すれば、サムスン電子サービスは2013年7月14日に労組が設立されると「設立段階→勢力拡張段階→交渉段階」などに分けて労組瓦解工作を展開したという。まず、サムスン電子サービス労組設立を早期遮断するために、協力会社社長団会議を召集して労組状況および対応のためのコントロールタワーとして統一的な指針を施行する「非常対応体系」を稼動したという。以後サムスン電子サービスセンターでは「不当転補」「暴行・罵詈雑言」「脱退督促」「業務受任遮断および経済的不利益」「休日強制勤務」など、さまざまな方式の労組脱退圧迫が随所でなされた。支部側は「日曜勤務を受け入れるよう圧迫して組合員に脱退を督促」(2013年10月・利川センター)、「脱北者出身の2人の組合員に対し、労組に加入すれば『北にまた送ることもあり得る』という趣旨の発言」(2013年8月・富川)、「外勤チーム長が電話して食堂に呼び出し労組脱退懐柔」(2013年9月・金海)などを代表的な事例として挙げた。

 交渉遅延行為も繰り返された。組合員名簿確認を問題にして交渉を拒否したり、交渉代表労組に確定されても業務過重などを理由に数回交渉を延期したりした。また、労組の勢力拡張を防ぐために「標的監査」もはばからなかったという。2013年の労組設立後、全国のサムスン電子サービスセンターで実施された監査対象の89.5%が組合員だった。以後会社側は「労組を脱退すれば(監査を)免れさせてやる」とも説得した。このような内容は、2013年10月に支部がソウル地方雇用労働庁に提出した不当労働行為陳情書にも収められているが、労働庁は2016年3月不起訴意見で事件を送致した。

■ 学縁・血縁・離婚など個人情報も収集

 2015年5月に公開された「組織安定化方案実行現況」(いわゆる「グリーン化方案」文書)には、その内容が具体的に含まれている。2014年2月にサムスン電子サービス蔚山(ウルサン)センターが作成したこの文書は、元請けであるサムスン電子などに報告された後、実行されたものと支部側は見ている。文書によれば、「個人別アクションプラン」という内容で組合員6人の名前とともに「面談ポイント」や労組脱退を懐柔するための活動計画などが含まれている。本人の周りの人でなければ分からないような離婚問題、金銭問題の状況と「夕食や夜の酒席などを積極的に実施すべき」といった計画も入っていた。また、組合員を核心/熱誠/単純加担に細分化し、核心は社規違反、懲戒措置などで法的対応をするようにと指摘している。 実際に、蔚山地域を主導していた組合員C氏と蔚山センター分会の責任者だった組合員Y氏は、ともに業務妨害容疑の被疑者として捜査対象となった。労働組合法(43条)違反である代替人力不法投入情況も明らかになった。

 支部側は当時「実際に労組設立以後、社長など管理者たちは持続的に懐柔し閉業すると脅迫をした」と明らかにしている。 結局、蔚山センターと西蔚山携帯電話センターを運営してきた蔚山スマートサービスは2014年4月29日閉業した。両センターで働いていた労働者約80人は働き口を失った。

ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/839692.html韓国語原文入力:2018-04-09 05:00
訳A.K

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