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数兆円無駄にした「資源外交」…疑惑の損失額は李明博のポケットに?

登録:2018-03-24 04:13 修正:2018-03-24 07:34
李明博元大統領//ハンギョレ新聞社

 李明博(イ・ミョンバク)元大統領が110億ウォン(約11億円)台のわいろ、340億ウォン(約33億円)台の裏金作りの容疑で拘束されたが、李元大統領と側近たちをめぐる様々な不正疑惑は依然として残っている。代表的なのが、当時の国策事業として進められたが数兆円の損失を残した海外資源開発事業だ。李元大統領の政権1年目の2008年から、韓国石油公社や韓国ガス公社、韓国鉱物資源公社の3社が推進した海外資源開発事業は170件に達する。

 23日、産業通商資源部によると、資源開発という名目の事業に合わせて43兆4千億ウォン(約4兆2千万円、2017年6月末基準)が投資され、13兆6千億ウォン(約1兆3千億円)の損失が発生した。これからも不良資産の売却や正常化にさらなる投資が必要であり、損失額はさらに増える見込みだ。ここに公企業と共に投資に乗り出した民間企業が2014~16年に負った損失だけでも、8549億ウォン(約833億円)にのぼり、ファンドも平均収益率が-25.8%を記録した。

 特に、投資はもちろん、投資資産を処分する過程まで非常識的であり、これらの損失額が李明博元大統領側に流れたのではないかという疑惑まで持ち上がっている。その代表的な事例が、石油公社が買収したカナダの精油会社ハーベストだ。石油公社は2009年の石油・ガス生産鉱区とオイルサンド鉱区を保有したハーベストを4兆5500億ウォン(約4400億円)で買収した。前例のない超大型事業だったが、交渉開始(2009年9月9日から)から最終契約までかかった時間はわずか44日だった。ハーベストの要求で一緒に買収した精油施設のNARLは、1973年完成以来、稼動中断と火災が相次いだ“問題の施設”だが、現場調査もなく買収し、3年後には1兆ウォン(約9700億円)を超える損失を抱えて売却した。キム・ソンフン公社副社長は、理事会の議決も経ず、2009年10月22日にハーベストの買収契約書に署名した。石油公社から経済性評価報告書を依頼されたメリルリンチは、たった3日で報告書を作成し、買収の妥当性を裏付けたが、当時メリルリンチの韓国支店常務が、李元大統領の執事として知られたキム・ペクチュン元大統領府総務企画官の息子であることが知られ、疑惑がさらに大きくなった。拙速な買収過程におけるチェ・ギョンファン当時知識経済部長官の役割が何だったのかなどは、相変らず謎として残っている。

 また、大型の不堅実や投資家の被害につながった事業過程を辿ると、李元大統領の実兄のイ・サンドク元議員と「王次官」と呼ばれたパク・ヨンジュン元首相室国務次長などが必ず登場する。イ元議員は2009年から大統領「特使」として中南米やアフリカなどを9回も訪問しており、中でもボリビアに5回も訪れたが、成果はなかった。むしろボリビア・ウユニリチウム開発事業では、ボリビア政府のリチウム国有化決定により4年後には契約が廃棄された。「ミスターアフリカ」というあだ名で知られたパク元次長が関与した2010年カメルーンのダイヤモンド開発事業は、資源開発会社CNK株価操作事件につながった。

 産業部は民間専門家らと昨年11月から海外資源開発革新TFを立ち上げて運営しているが、まだ責任の所在は明らかになっていない。また、「出口戦略」はまだ構想の段階にある。石油公社のイラク・クルド事業や鉱物資源公社のメキシコ・ボレオとマダガスカルのアンバートビー事業、ガス公社のオーストラリアのGLNGやカナダのホンリボ-ウェストカットバンク事業など数兆ウォンが投入された事業の整理や正常化に、さらに数兆ウォンがかかるものと予想される。

 このため、李明博元大統領の拘束にもかかわらず、さらなる疑惑の捜査を求める声が高まっている。同日、チャン・ジョンスク民主平和党報道官は「検察は(李明博元大統領の)余罪を明らかにしなければならない」とし、「在任時に国策事業だった4大河川事業や海外資源開発に至るまで、本格的に捜査範囲を拡大すべきだ」と主張した。

チェ・ハヤン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/837462.html韓国語原文入力:2018-03-23 20:47
訳H.J

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