検察が今月5日に拘束起訴したキム・ペクチュン元大統領府総務企画官の起訴状内容を見れば、事実上当該疑惑に対する李明博(イ・ミョンバク)元大統領の起訴状と見ても差し支えない水準だった。A4用紙5枚分のキム元企画官の起訴状には、李元大統領の名前が計13回も登場する。李元大統領が最高統治権者の地位を利用して、使途を証明しなくとも良い国家情報院の特殊活動費を、自分の金であるかのように要求したという関連証言も赤裸々に適示された。
ハンギョレが8日、チョン・ヘチョル共に民主党議員を通じて確保したキム元企画官の起訴状には、李元大統領が国家情報院特殊活動費上納の明白な“主犯”として登場した。国家情報院から特殊活動費4億ウォン(約4千万円)の上納を受けた特定犯罪加重処罰法上賄賂および国庫損失容疑の被疑者として李元大統領を明示した。賄賂供与者はキム・ソンホ元国家情報院長とウォン・セフン元国家情報院長だった。
検察は、キム元企画官が2008年4~5月頃、国家情報院から受け取った特殊活動費2億ウォン(約2千万円)と関連して「李元大統領が2008年4~5月頃にキム・ソンホ元院長と共謀し、特別事業費として編成された国家情報院の資金2億ウォンを『機密維持が要求される情報および事件捜査』と関係なく引き出して使うことにより、国庫に損失を与え、公務員の職務と関連してキム元院長から賄賂を受け取った」と指摘した。検察は、キム元企画官に対しては、李元大統領が国庫を損失させ、賄賂を授受することを助けるために、国家情報院予算官から現金2億ウォンを受け取った“ほう助犯”と判断した。
検察は、この資金を賄賂と判断した理由と関連して、「キム・ソンホ元院長は、指名の直後に『サムスンから金品を受け取った』という疑惑がふくらみ、聴聞会すら開かれなかったが、相次ぐ疑惑にもかかわらず(李元大統領が)国家情報院長任命を押し切ったことに対する恩返しと、国家情報院長職の維持および人事・予算編成など大統領から各種便宜を受けることを期待し、李元大統領に要求されるままに2億ウォンを用意することを決心した」と指摘した。
2010年7~8月頃、2回にわけて渡された2億ウォンにも、李元大統領が主犯として登場する。今度は李元大統領がウォン・セフン元院長と共謀して特殊活動費の上納を受け、ウォン元院長は国家情報院の運営過程で発生した問責論にもかかわらず院長職を維持できた恩返しとして資金を渡したと検察は主張した。
検察が起訴状に李元大統領を“被疑者”として釘を刺したことによって、今後の処罰手続きは“択一”だけが残ったとみられる。しかも李元大統領が受け取った国家情報院上納額は、この先はるかに増える可能性が大きい。キム・ヒジュン元大統領府第一付属室長が述べた10万ドル(約1100万円)とキム・ジンモ元民政2秘書官が民間人査察の口止め用に渡された5000万ウォン(約500万円)の他にも、検察は2008年パク・ジェワン元政務首席とチャン・タサロ元政務秘書官が国家情報院から数億ウォンの特殊活動費を受け取り、総選挙の世論調査用に使ったという疑惑も捜査している。検察はすでに世論調査機関などを通した事前捜査で、疑惑の相当部分を把握したと伝えられた。李元大統領の指示があったことが明らかになれば、朴前大統領と同じく公職選挙法違反容疑でも起訴を避けがたい状況になる。
一方、検察はこの日李元大統領に賄賂を供与した疑いで召喚調査したキム・ソンホ元院長の逮捕状を近く請求する方針だ。キム元院長は、2008年李元大統領に2億ウォンの特殊活動費を渡した容疑だけでなく、親朴系と親李系の支持率を分析するために数億ウォンの国家情報院特殊活動費を不法に世論調査費用として上納した疑いも受けている。