セウォル号惨事事件の捜査チーム長だった検察幹部が法廷に出て、ウ・ビョンウ元大統領府民政首席が民政秘書官を務めていた2014年6月に電話をかけ、海洋警察庁本庁サーバの押収捜索を阻止したと証言した。ウ元首席は2016年12月の国会聴聞会で、捜査チームに電話をした事実は認めながらも「外圧」疑惑は否定し、偽証容疑で起訴された。
ソウル中央地裁刑事33部(裁判長イ・ヨンフン)は12日、ウ元首席の裁判を開き、ユン・デジン・ソウル中央地検1次長検事の証人訊問を進行した。証人としての出廷について苦悩したユン次長は、この日法廷に出て「海洋警察本庁などを押収捜索した2014年6月5日午後4時頃、(ウ元首席から)電話がかかってきて通話した事実がある。海洋警察本庁状況室の警備電話の録音ファイルが保管された電算サーバーを押収捜索しないようにはできないか、という趣旨で訊いてきた」と供述した。当時、光州(クァンジュ)地検刑事2部長だったユン次長は、セウォル号惨事の救助関連捜査チーム長であり、捜査チームが押収した海洋警察本庁状況室の通話内容は、セウォル号惨事の直後の政府の態度と初期対応を知ることができる主要な資料の一つだった。
ユン次長は、ウ元秘書官が電話した2014年6月5日の状況を詳しく証言した。捜査チームは、海洋警察本庁の押収捜索当時、担当者が現れず、録音ファイルが保管された電算サーバーの押収捜索に支障を来たしていた。ユン次長は法廷で「(ウ元首席が)午後4時過ぎに電話し(状況室のサーバーには)大統領府安保室との通話内容も保存されており、国家安保や保安上の問題があると言っているが、必ず押収捜索をしなければならないのかと尋ねた」とし、「令状に押収捜索の対象と記載された以上、しなければ職務遺棄になりかねず避けられないと答えると、わかったと言って電話を切った」と話した。ユン次長はさらに、「当時、ビョン・チャヌ光州地検長などと相談して『海洋警察が大統領府にまでSOSを送ったようなので、議論をなくすためには再度令状を受けたほうがいい』という話が出て、場所と対象を具体的に特定した押収捜索令状を再び受けて執行した」と説明した。ユン次長がセウォル号惨事の捜査関連「外圧」行使について法廷で供述したのは初めてだ。
ウ元首席の弁護人は法廷で「押収捜索をしないよう要求したわけではない」と反論した。これに対してユン次長は「それは判断の問題」だとして、「私が経験したのは、(ウ元首席が)しないようにはできないかと言い、捜査チームとしてはするしかないと答え、(ウ元首席が)わかったと答えたということだ」と反論した。
ウ元首席とユン次長は2001~2002年「イ・ヨンホゲート」特検捜査と2011年の最高検察庁中央捜査部の貯蓄銀行不正捜査を一緒に行なったつながりがある。