ウォン・セフン元国家情報院長が在職時代、国情院の海外工作費で自分の妻が利用するソウル江南区(カンナムグ)所在の官舎を豪華につくり変えた情況が検察につかまれた。
ソウル中央地検特殊2部(部長ソン・ギョンホ)は、国情院が2010年7月、ソウル江南区道谷洞(トゴクドン)のインストピアビル最上階全体を住居用につくり変えるのに10億ウォン(約1億円)をかけた経緯について調査中だと30日、明らかにした。検察は国情院の予算業務を担当した企画調整室担当者からウォン元院長の指示によって海外工作費でこのビルの内装工事をし、高級什器を入れたという供述を確保した。豪華な内装工事はウォン元院長の妻のL氏の主導で、L氏の好みに合わせて行われ、その後L氏が主に知人たちと会合を開くなど私的目的で使われたという供述も出た。
地下5階、地上18階のインストピアビルは国情院の所有であり、高級住商複合マンションであるタワーパレスの近くにある。1階の広さは823平方メートルになる。現在、国情院傘下の国策研究機関である国家安保戦略研究院がこの建物の12~18階を使用しており、残りの階は商店街、オフィスなどで賃貸している。
国情院は2011年8月、ウォン元院長の家族がこのビルにある官舎を使用中だという一部のマスコミの報道が出ると、元の状態に戻す撤去工事を行い、高級什器なども持ち出したものと検察は把握している。当時、国情院はマスコミに「(ウォン元院長が)内谷洞(ネゴクドン)の官邸が古くて修理工事をしており、以前から隠れ家として使っていた道谷洞のビルで臨時に暮らしていた」と釈明した。しかし、検察はこのような釈明とは異なり、ウォン元院長が正常な生活が可能な正式の公館を別に置いたまま妻の私的用途のため巨額の予算を投入したとして、横領または国庫損失罪に該当すると見ている。検察関係者は「私的な欲を満たすため、国情院の資金をむやみに使ったものと見ている」と話した。検察はこの隠れ家がウォン元院長夫人の強い要求によって設けられた情況も捉え、妻のL氏も横領などの共犯として召喚調査する案を検討中だ。
検察は29日、ウォン元院長の拘置所の部屋と国家安保戦略研究院を家宅捜索した当時、家宅捜索令状の犯罪事実に「豪華なインテリア疑惑」に関連する内容も含めている。検察はウォン元院長が2011年末から2012年初めまで、国情院の海外工作金200万ドルを米国スタンフォード大学のある研究センターに基金として送るようにしたという資料も国情院から受け取って捜査している。
一方、李明博(イ・ミョンバク)政府時代の国情院の「民間人コメント部隊」活動を総括した疑惑を受けているイ・ジョンミョン元国情院3次長が「拘束が妥当かどうかもう一度判断してほしい」と拘束適否審査を請求したが、却下された。ソウル地裁刑事合意51部(裁判長シン・グァンリョル)は30日、イ元次長の拘束適否審の審問期日を開いた後、請求を棄却したと明らかにした。