本文に移動

元国防長官に出国禁止措置…検察捜査、国情院とサイバー司令部同時に狙う

登録:2017-09-28 01:24 修正:2017-09-28 07:27
オク・ドキョン国軍サイバー司令官(左)が2013年11月1日、国会で開かれた国防委員会国政監査で議員の質問に答えているキム・グァンジン当時国防部長官は水を飲んでいる=イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

 検察が最近、キム・グァンジン元国防部長官(68)の出国を禁止し、国軍サイバー司令部(サイバー司)の2012年のコメント工作に対する本格的な捜査に着手した。キム元長官は、李明博(イ・ミョンバク)政権で国防部長官に在職した2012年の大統領選挙と総選挙を控え、指揮下のサイバー司の各種のコメント工作を企画・指揮して、これを李明博大統領に報告したという疑惑を受けている。

 検察はキム元長官のほかにも、同事件に関わった民間人数人に対し出国禁止措置を取ったことが確認された。検察関係者は「キム元長官は必要な時点に呼んで調査する計画」とし、「李明博元大統領を捜査するかどうかは、キム元長官などに対する調査が行われてから判断する問題」だとと話した。検察は最近、サイバー司に対する捜査のため、捜査チームを増員したという。

 検察がキム元長官などを皮切りに、2012年の国軍サイバー司によるコメント工作捜査に入ったことで、李明博元大統領を“射程圏”にとらえる捜査がさらに増えた。国家情報院の世論操作事件に続き、李元大統領を“頂点”と見ている検察の“ツートラック”捜査が同時に進められている。

 検察は、まだ李元大統領を公式的には言及していない。この事件だけではなく、国情院の世論操作事件についても同じだ。ウォン・セフン元国情院長が最近、被疑者として召喚され、李元大統領の召喚も近いのではないかという一部の見通しについても、検察は「そのような段階ではない。(捜査に)かなり時間がかかるだろう」という反応を示した。ただし、検察関係者は「特定の人を狙う捜査ではない。政界で疑惑が具体的に持ち上がっており、犯罪成立の有無を確認せざるを得ない状況」だと話した。“標的捜査”問題を遮断し、慎重を期しているものと見られる。

 にもかかわらず、これまで明らかになったサイバー司によるコメント工作の構造と状況からして、キム・グァンジン元長官が検察の「フォトライン」に立てば、次は李元大統領になる可能性が高い。最近公開された様々な文書には2012年の総選挙と大統領選挙を控え、サイバー司が“対北朝鮮”ではなく、“対内”政治工作を展開する過程で、キム元長官が積極的かつ主導的な役割を果たしたことが確認されている。そして、その“上部”で報告を受けただけではなく、活動方向を裁可し、サイバー司の人員と予算などを増やせるように積極的に支援した人として、李元大統領を疑わざるを得ない情況が明らかになっている。

 今月25日に公開された2012年3月作成の「サイバー司令部の関連BH(大統領府)協力会議の結果」という題名のサイバー司内部文書にも、工作のための軍務員の増員が「大統領が2度指示した事項」だと明記されている。決裁者であるキム元長官の署名も鮮明に残っている。また、「BHは主要問題に対する集中対応を要求」という内容と共に、「主要問題」として「韓米FTA、済州(チェジュ)海軍基地、脱北者の人権蹂躙など」を例示した。当時、4月の総選挙を目前に控えて与野党が激しく対立していた事案だ。同文書には、コメント工作の結果を「作戦の結果」として大統領府に“対面”報告した情況も記録されている。

 具体的な情況が公開されたことで、検察も証拠の確保を急いでいる。検察関係者は「政界やマスコミとは異なり、我々には“立証”しなければならない負担がある。報告・指示文書などの証拠を確保している」と話した。検察は、基礎的な準備が終わり次第、当時の大統領府の「安保ライン」と国防部幹部を呼び、報告・決裁の状況と李元大統領の関与の程度などを調査する方針だ。検察の内外では、当時大統領府のチョン・ヨンウ安保首席やキム・テヒョ対外戦略企画官、ユン・ヨンボム国防秘書官、国防部のイム・グァンビン政策室長らが調査対象に挙がっている。

 他方では、国情院の世論操作事件の捜査が進められている。「国政院長-大統領」という単線的な構造の事件だが、検察は、ウォン・セフン元院長が捜査に“協力”しないものと見て、証拠の確保に力を入れている。検察関係者は「ウォン元院長が口を開くまで待つことはないだろう」と話した。李元大統領の召喚が可視化するまでは、さらに時間がかかるものと見られる。

カン・ヒチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/812809.html 韓国語原文入力:2017-09-27 20:43
訳H.J(2088字)

関連記事