韓国電力の子会社である東西発電が労働時間を減らして雇用を増やす「弾力定員制」を公共機関としては初めて導入する。弾力定員制は、公共機関の人件費総額内で手当や年休補償費などを減らす代わりに人材を補充することだ。過去には公共機関の無分別な採用を防止するため政府が厳格に定員を管理してきたが、文在寅(ムン・ジェイン)政府のスタート以後、公共機関の雇用創出を国政課題として関連規定を見直した。
東西発電は21日、企画財政部と公共機関40カ所余りが参加した雇用分かち合い説明会で、「雇用分かち合い型4班3交代」の施行で、総人件費を増やさずに72人を追加採用すると明らかにした。それまで一年間の採用人員は平均100人だったが、72人を加えて合計172人を年末に採用する計画だ。
これに先立って東西発電は、2013年に「分かち合い班」という予備班を設けて超過労働を減らし、年休使用を増やした。東西発電は4班3交代で発電所を運営しており、超過労働が頻繁だった。平均32日の年間有給休暇も14.8日しか使われず、有休使用率も64%にとどまっていた。こうした問題を解消するために、分かち合い班を導入し、労働者が休暇や教育でいない時に発生する代替労働や特別勤務(休日勤務)を減らした。
今後、東西発電は分かち合い班の規模を拡大し、超過労働手当・有休補償費などを減らすことにより新規採用を増やす方針だ。削減費用は総人件費(2016年2197億ウォン)の5%に当たる約110億ウォン(11億円)規模だ。これを財源として定員を72人増やすのに使うことにした。通常、定員を増やせば人件費予算も増えるが「仕事場を分かち合うこと」で総人件費は維持される。東西発電側は「定員の拡大で分かち合い班が拡大運用され、超過労働がゼロ(0)に近づくだろう」とし「有休補償費を廃止するのではなく、有休使用率を高めて補償費を減らすことになるだろう」と説明した。
今回の措置は企画財政部が「公共機関の組織と定員に対する指針」を修正し、弾力定員制を許容したことにより可能になった。企画財政部は7月31日、キム・ヨンジン2次官の主宰で第8回公共機関運営委員会を開き、定員指針を改正した。会議を主宰したキム次官は東西発電の前社長で、2013年に雇用分かち合いのモデルを作った人だ。企画財政部は、制度導入時に機関別に労使協議を経ることを強調した。弾力定員制を導入すれば、1人当りの賃金は減りうるためだ。職員の年俸水準(約8千万ウォン=約790万円)が高いほうである東西発電の場合、労働時間の短縮の方がより重要という共感が労使間で形成されたために可能なことだった。
企画財政部は、弾力定員制の導入が非正規職の増加につながらないよう、新規採用は必ず正社員にすることも注文した。企画財政部公共政策局のファン・スングァン政策総括課長は「雇用を分かち合うことで労働者、青年求職者、公共機関のすべてに肯定的効果があるだろう」と明らかにした。韓国労働研究院のペ・ギュシク先任研究委員は「雇用安定と高賃金が保障された公共機関と大企業を中心に、同じような事例が増えることを期待する」として「特に“年末ボーナス”のようになっている有休補償費は可能な限り減らして雇用の創出に使うことが適切だ」と評した。