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裁判所「起亜自動車の定期賞与は通常賃金」会社側に約400億円の支払いを命じる

登録:2017-09-01 05:37 修正:2017-09-01 07:52
起亜自動車労働者らが定期賞与金を「通常賃金」として認めるよう主張し、会社を相手に起こした訴訟の1審の判決が下された8月31日午前、ソウル瑞草区のソウル中央地裁で一部勝訴判決を勝ち取った労組側関係者たちが裁判所を後にしている/聯合ニュース

 裁判所が「起亜自動車の定期賞与は通常賃金」とし、労働者らに4223億ウォン(約392億円)を支給することを命じた。

 ソウル中央地裁民事41部(裁判長クォン・ヒョクチュン)は31日、起亜自動車の労働者2万7424人が会社を相手に未払いの延長・夜間・休日勤労手当てなどの支給を求めて起こした訴訟で、原告勝訴判決を下した。裁判部は「起亜自動車の定期賞与と昼食代は定期的・一律的・固定的に支給される賃金であり通常賃金」とし、「被告(起亜自動車)は、原告に賞与金、食事代を通常賃金に含め、再算定した延長勤労手当てなどを支給する義務がある」と明らかにした。ただし、労働者らが要求した1兆926億ウォン(約1071億円、利子4338億ウォンを含む)のうち4223億ウォン(利子1097億ウォンを含む)だけを支給すべきだと述べた。通常賃金は労働者が所定労働時間(会社と労働者が決めた労働時間)に通常的に提供される所定労働の代価として支払うことを約定した金品を指すもので、定期的・一律的・固定的に支給される賃金だ。通常賃金は、通常賃金の150%を支給することになっている休日・延長・夜間勤労手当てなどの算定の基準となる。

 特に、裁判所は「労使合意によって賃金が決定されたため、今になって通常賃金の支給を求めるのは、信義誠実の原則(信義則)を違反する」という会社側の主張を認めなかった。裁判部は「原告らは労働基準法によって認定される権利を行使しており、過去の延長・夜間・休日労働で生産した部分の利得はすでに被告が享受した」と指摘した。さらに、「重大な経営上の困難をもたらす」という起亜自動車や産業界の主張に対しても、裁判部は「被告は2008年から毎年かなりの当期純利益を上げており、財政及び経営状態、売上実績なども悪くない」としたうえで、「原告らが当然もらうべき賃金をようやく支給するに対して、費用が追加的に支出されるという点のみに着目し、経済に重大な脅威になると主張するのは適切ではない」と、裁判所は明らかにした。

 信義則は通常賃金訴訟で企業側の主な反ばく論理として使われてきた。通常賃金の150%を与える延長・夜間・休日勤労手当ては、労働基準法で定められており、会社が必ず支給しなければならない賃金だが、2013年、最高裁判所全員合議体(主審イ・サンフン最高裁判事)が「使用者に予測できない新たな財政的負担を課すことで、重大な経営上の困難を来したり、企業の存立を危うくする場合は、信義則に反するものと見て、認めることができない」と判断したからだ。最高裁判所が認めた「信義則」のため、通常賃金訴訟の明暗が分かれてきた。しかし、裁判所は「『重大な経営上の困難』や『企業の存立の危殆』はいずれもあいまいで不確定的な内容であり、追加負担額がどの程度なら、そのような要件を満たすのかが分からないため、これを認めるに当たっては厳格に解釈・適用すべき」だとして“信義則の乱用”にブレーキをかけた。

キム・ミンギョン、ヒョン・ソウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/809056.html 韓国語原文入力:2017-08-31 21:58
訳H.J(1660字)

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