慶尚北道星州(ソンジュ)に既に配備されたTHAAD(高高度防衛ミサイル)装備の臨時運用のための補完工事が、一般環境影響評価実施前に許容される。THAAD配備を既成事実化する措置と解説される。
国防部は28日、報道資料を出し「前政府が昨年12月から進めてきた小規模環境影響評価に関して環境部と協議し、既に配備された装備の臨時運用のための補完工事、これに必要な燃料供給、駐留将兵のための便宜施設工事を許容する」と明らかにした。国防部はこれに先立つ今月24日、環境部に在韓米軍に供与された星州ゴルフ場のTHAAD配備敷地32万平方メートルに対する小規模環境影響評価書を提出し協議要請をした。2~3カ月かかると予想される小規模環境影響評価の協議手続きが終わり次第、今年4月に星州ゴルフ場に奇襲配備されたTHAAD発射台パッドなどの補完工事と米軍将兵の宿舎など便宜施設工事を許容するという。しかし国防部が許容するという補完工事の内容は、THAAD発射台のパッドを野戦用鉄板からコンクリート構造物に交替し、基地内連結道路の建設と電気工事が含まれているため、事実上永久配備のための工事と同じだ。一般環境影響評価をする前に、THAAD配備を受け入れる意向を明らかにしたものと解釈される。
これは文在寅(ムン・ジェイン)政府が強調してきたTHAAD配備の手続き的正当性公約を自ら破ることだという批判が出ている。大統領府は先月5日「国防部が環境影響評価を避けるためにTHAAD配備敷地70万平方メートルを2つに分けて、第1段階として32万8779平方メートルのみを在韓米軍に供与し、小規模環境影響評価だけを実施する便法を働かせた」として、国防部に対して環境影響評価の正しい実施を指示している。ソン・ギホ弁護士は「THAAD敷地に対して一般環境影響評価を実施しないことは手続き的正当性がないと批判しておきながら、今になって一般環境影響評価も実施せずにTHAAD配備の補完工事を許容することはつじつまが合わず法的根拠もない」と話した。
国防部は米軍に供与することにした星州基地の全敷地70万平方メートルに対しては「国内法にともなう一般環境影響評価を実施」すると明らかにした。また、THAADの最終配備の可否は一般環境影響評価の結果を反映して決めると明らかにした。現在、星州ゴルフ場には発射台2基とレーダー、発電機、冷却機、火力統制などが配備されている。追加で配備される計画だったTHAAD発射台4基は、この環境影響評価が終わるまでは搬入しないということだ。一般環境影響評価は通常10~15カ月程度かかるため、発射台の追加搬入は来年に延ばされることになった。
THAAD配備に反対してきた星州と金泉(キムチョン)の住民たちは、政府の発表に強く反発した。「THAAD配備撤回星州闘争委員会」の共同委員長を務める住民のイ・ジョンヒ氏(60・草田面)は「文在寅政府がTHAAD配備問題に対して曖昧な話をしても、当座は信じてみようという雰囲気があったが、一杯食わされた気持ち」とし「まともな環境影響評価も行わずに不法配備されたTHAADをま先ず撤去して、まともな戦略環境影響評価をしなければならない」と要求した。
中国外交部の陸慷報道官はこの日、定例ブリーフィングで「中国のTHAAD問題に対する立場は明確で一貫しており、変わりがない。私たちは関連国家が直ちにTHAAD配備を中断し取り消すことを強く要求する」と話した。