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朴政権、北朝鮮の核実験に対し有効なカードなし

登録:2016-09-12 01:27 修正:2016-09-12 07:24
キム・ギュヒョン外交安保首席が11日午後、大統領府の春秋館で朴槿恵大統領のロシア、中国、ラオスの歴訪外交の結果について報告した後、取材陣の質問に答えている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の5回目の核実験について朴槿恵(パククネ)大統領は「すべての可能な制裁手段を動員して対応する」と述べたが、政府が持っている「カード」にはこれといったものがない。2010年、李明博(イミョンバク)政権は天安艦事件後の「5・24措置」で対北朝鮮支援事業などを中止した。朴政権は今年すでに、北朝鮮の4回目の核実験(1月6日)とロケット発射(2月7日)で北朝鮮向け拡声器放送を再開し、「開城(ケソン)工業団地の全面操業中止」の措置を取った。「海外の北朝鮮レストランの利用自制」という手段まですべて使い切っている。「核爆弾」に対して「言葉の爆弾」だけで応酬している理由だ。

 意味のある対北朝鮮カードをすでに使い尽くした朴政権は「心理戦」の拡大で対応する見通しだ。北朝鮮の核開発を実質的に制御する手段がない状況で、主に「言語的手段」にしがみついている。朴大統領が9日にラオスから早期帰国した直後、「金正恩(キムジョンウン)の精神状態は統制不能だと見なければならない」と厳しく非難したのも、このような流れと思われる。

 国防部は、北朝鮮の5回目の核実験に対応し対北朝鮮心理戦をさらに積極的に活用すると発表した。電光掲示板を活用した視覚心理戦装備はもとより、固定型・機動型の対北朝鮮拡声器も追加設置し、放送時間も増やす予定だ。「北朝鮮軍の精神的な戦力の弱体化を目指す」というのが国防部の説明だ。

 特に「北朝鮮の人権」攻勢が全面的にくり広げられるものと予想されている。これも実質的には心理戦的形態で行われる。4日から施行された「北韓人権法」により、政府は北朝鮮の人権運動団体に対する支援を増やしていく予定だ。これらの団体は、北朝鮮の住民を対象に外部世界の情報を提供する役割を担うことになるが、対北朝鮮ビラやラジオ放送などが活用される。

 朴大統領が8月15日の光復節祝辞で「北朝鮮当局の幹部らとすべての北朝鮮住民」に向けて「統一は新たな機会を提供する」と話したのは、北韓人権法の施行によって北朝鮮の中心権力層と幹部・住民を分離し「金正恩政権の交替」を目標とする対北朝鮮戦略を本格化しようとする意図かもしれないという専門家の指摘が多い。しかし、大統領府の高位関係者は11日、「レジームチェンジ(金正恩政権の交替)は我が政府の政策ではない」と釘を刺した。

 米国政府のように朴政権も北朝鮮人権法の施行によって北朝鮮に対する人権制裁対象リストを公開する案を推進するだろうと伝えられている。3月初めに発表した大量破壊兵器(WMD)開発に関連する金融制裁リストを拡大する可能性も大きい。しかし、交流協力はもちろん、人道的支援まで事実上全面中止したため、リスト公開は南北対立を激化させるだけで実効性はそれほどないだろうという見込みが強い。

キム・ジンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力:2016-09-11 20:56

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/760982.html  訳M.C

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