福島原子力発電所事故が発生してから5年が過ぎたが、近隣の海底や河川の放射能汚染は事故前より数百倍高いことが分かった。
国際環境団体グリーンピースは21日、「今年2月21から3月11日まで福島原子力発電所近隣の河川と海底から試料を採取し、東京にある独立研究所の『ちくりん舎(市民放射能監視センター)』に分析を依頼した結果、海底でセシウム(Cs)137による汚染度が最高1キログラム当たり120ベクレル(Bq)検出された」と明らかにした。これは2011年3月11日の原子力発電所事故以前の0.26Bq/キログラムに比べ460倍高い数値だ。福島原子力発電所から南に60キロメートル離れたところでも、原発から半径4キロメートル内の測定数値と類似した値を示し、海洋汚染が広範囲に及んでいることを示すとグリーンピースは付け加えた。セシウム137は半減期が30年の放射性物質で、核分裂時にのみ発生する。
近隣河川などで採取した試料は、放射能汚染がはるかに強いことも分かった。福島県南相馬市を流れる新田川(にいだがわ)の試料からは、放射性セシウム(セシウム134とセシウム137)が最大2万9800Bq/キログラム検出された。セシウム137だけで最高数値が2万5000Bq/キログラムで、海洋汚染の最高数値の200倍に達した。また、福島第1原発から北に90キロメートル離れている宮城県の阿武隈川河口では、最大6500Bq/キログラムの放射性セシウムが検出され、汚染が広範囲に及んでいることを示した。
グリーンピースは「日本政府は来年3月に、今も深刻に汚染されている地域に対する住民待避命令を解除しようとしているが、これは深刻な人権侵害を招く措置であり、決して許容してはならない」と主張した。