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[インタビュー]身分移動・牽制均衡が歴史を変える、朴政権は社会発展に逆行

登録:2016-01-18 23:55 修正:2016-01-19 05:51
カン・チョルギュ元公取委員長 =キム・ポンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「人類の歴史を見れば自由な身分移動、牽制と均衡、信頼と法治が社会の発展を導いた。 だが、朴槿恵(パククネ)政権は3年間このような歴史的教訓と社会発展の方向に逆行した」

 カン・チョルギュ元公正取引委員長(71)は18日、新刊『強い国はどう作られるか』の出版を契機にハンギョレとのインタビューで「韓国社会は進む方向を見失っている」とし、新しい時代に相応しい新しい社会発展の概念が必要だと強調した。

格差が深刻になり身分移動が閉じられた
民主主義の後退で牽制・均衡は弱化
セウォル号に見るように生命の尊重もできず

成長率が高いからと幸せにはなれない
開発年代の発想から抜け出すべき
経済民主化・南北経済統合を

 カン元委員長は「多くの人が成長率が低くなることを心配しているが、それは過去の開発年代のパラダイムだ。 成長率が高くとも国民の幸福は比例して増加しない。真の社会発展とは何かということを熟考しなければならない」と語った。 彼はその基準と関連して「人間の基本価値である自由、生命、信頼、財産権が実現されてこそ発展した社会と言える」と提示した。 ノーベル経済学賞受賞者であるハーバード大学のアマルティア・セン教授が提示した社会構成員の「自由の伸長」をさらに一段階発展させた概念だ。

 カン元委員長は社会発展のためには物理的技術と対比される「社会的技術」が重要だと強調する。 「社会発展の原動力は人間のゲームの規則である制度、これを実行に移して牽引する組織とリーダーシップが一つのシステムを作り上げる社会的技術だ」。彼は人類の歴史を変えた卓越した四つの社会的技術として「身分移動」、「交換と交易の拡大」、「牽制と均衡」、「信頼と法治」を挙げた。 「身分移動は開かれた社会を作り社会構成員の情熱と潜在力を刺激したし、交換と交易は共同体の範囲を拡大し人類社会の繁栄をもたらした。 また、牽制と均衡は権力の独占を防ぎ不正腐敗を減らしたし、信頼と法治は社会を公正性と信頼の土台の上にのせて社会発展を成し遂げた」。

 カン元委員長は人類の歴史の興亡盛衰を社会的技術と関連づけて再解釈した。 「アテネは自国出身の両親から生まれた人だけを市民と認定する閉鎖性を示し、人口の減少と経済の停滞を招いて衰退した。 反面、ローマは占領地の優秀な人に市民権を与える敗者同化政策と、奴隷でも身分上昇が可能な解放奴隷制を通じて発展を成し遂げた」。彼はローマの衰退原因は牽制と均衡の喪失に求めた。 「共和政時代には平民の中から護民官を選び、執政官などの官吏を逮捕できる強大な権限を付与することにより貴族と平民の間に牽制と均衡を作ったが、帝政時代には皇帝が独裁を行い腐敗が蔓延して市民が無力化された」。

 カン元委員長は英国の産業革命も「貴族と市民が王権牽制のために立憲君主制を導入して、私有財産権の保護、産業活動の増加、金融の活性化を通じて蒸気機関の発明と鉄道建設などがそれに続いた」として牽制と均衡の結果だと説明した。 また、韓国が解放から半世紀で産業化と民主化の両方で成功した秘訣を、農地改革を通じて封建的身分制度が崩れ自由な身分移動が可能になったことに求めた。

 カン元委員長は、朴槿恵(パククネ)政権の3年間はこのような歴史的教訓と真の社会発展方向に逆行したと批判した。 「『金の箸』論争が起きるほど格差が深刻化し、身分移動が閉ざされた。 また、民主主義の後退および国民の自由抑圧が憂慮されるほどに牽制と均衡が弱まり、セウォル号事態に見られるように生命の尊重もできていない」。彼は韓国社会の解決法として「成長率さえ高めれば良いと信じている開発年代の思考から離脱しなければならない」とし「中下位階層の所得向上を通じて成長率を高めるには、格差解消のための経済民主化(財閥改革)と南北経済統合を通した朝鮮半島新経済構築が必要だ」と提言した。

 カン元委員長はソウル市立大教授と又石(ウソク)大総長を務めた進歩指向の経済学者で、経済正義実践市民連合創立に発起人として参加し、金大中(キムデジュン)政権では腐敗防止委員長、盧武鉉(ノムヒョン)政権では公正取引委員長を歴任した。

クァク・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/726752.html 韓国語原文入力:2016-01-18 20:02
訳J.S(1968字)

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