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[ニュース分析]核保有誇示する金第1書記の冒険、米国に“対話”圧力

登録:2016-01-06 22:55 修正:2016-01-07 06:29
金正恩・労働党第1書記が核実験命令に署名する姿を朝鮮中央テレビが6日報じた=朝鮮中央テレビからキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮がこの時点でなぜ、何を狙い、予告もなく、そして電撃的に4回目の核実験を強行したのかを把握するためには、3つの側面から比較分析する必要がある。国内政治、科学技術、外交的側面だ。

 第一に、国内政治的側面では、36年ぶりの労働党大会(5月初め)の招集を控えた執権5年目の金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記の政治的リーダーシップを浮き彫りにさせ、年頭演説で明らかにした「経済強国建設に総力を集中する」という政策路線に力を入れようとする意図が込められたものと見られる。元幹部は「北朝鮮内部からすると、強大な核抑止力を備えているから、軍にも従来の軍備にこだわるよりも、経済建設に協力ことを求める、金第1書記のメッセージだと思われる」と指摘した。北朝鮮は4回目の核実験の事実を公表した政府声明で、「水爆まで保有した核保有国」「最強の核抑止力」という表現を用いた。

 第二に、科学技術的な側面だ。北朝鮮の核問題に詳しい元高官は、「核開発を行うためには、科学技術の側面で実験を繰り返さなければならない」と述べた。キム・グンシク慶南大学教授も「核技術を高度化するための核実験」だと分析した。

 第三に、外交的側面だ。6カ国協議が中断されてから8年目を迎えており、米国との対話の窓口も閉ざされている状態で、(今回の核実験は)米国を交渉のテーブルに呼び込むための、超強硬圧迫戦術というのが大方の分析だ。チョン・セヒョン朝鮮半島平和フォーラム常任代表(元統一部長官)は、「米国を交渉のテーブルに呼び出し、平和協定の交渉を導き出そうとする瀬戸際戦術」と分析した。ムン・ジョンイン延世大学教授は「北朝鮮を中心に交渉の枠組みを改めて構築しようとする意図だ」と述べた。核実験の時期の選択と関連して、チョン代表は「北朝鮮はオバマ米大統領と朴槿恵(パク・クネ)大統領が予定する国政演説と年頭演説で政策を転換することを望み、この時点で核実験を行ったものと思われる」と付け加えた。 3月末、米ワシントンで開かれる予定の核安全保障サミットに狙いを定め、北朝鮮の核問題の緊急性を喚起しようとする思惑も働いたものと見られる。

金第1書記の直筆署名の内容=聯合ニュース

5月の党大会控え内部固め 
米国交渉のテーブルに呼び込む
科学技術の側面では、「核技術の高度化」 

「戦略的な忍耐」続けたオバマ大統領が 
北朝鮮と対話に乗り出す可能性は極めて低い 
専門家「外交・交渉で解決を模索すべき」

 専門家たちは、北朝鮮の4回目の核実験に3つの側面がすべて働いたとしながらも、何が最も重要な目的なのかをめぐり、意見が分かれた。外交的側面が重要であると分析する人が比較的に多いが、国内政治と科学技術の側面が重要だという意見も少なくない。

 チョン・セヒョン常任代表は、「北朝鮮が政府声明で『先に核兵器を使用せず、どのような場合でも、関連手段と技術を移転することはない』と明らかにしたのは、核兵器・核実験が(対米)交渉のためという意味」だとして、対米メッセージが最も重要だと分析した。

 元高官も「真の狙いは、米国を揺さぶり交渉のテーブルに呼び込むこと」だと述べた。北朝鮮は昨年10月1日、リ・スヨン外相が第70回国連総会の基調演説で「米国が停戦協定を平和協定に変えることに同意する場合、共和国(北朝鮮)は朝鮮半島で戦争との衝突を防止するための建設的な対話をする用意がある」と述べるなど、米国に平和協定の締結を要求してきた。

 一方、北朝鮮との核交渉経験が豊富な元政府高官は「核実験は、国内政治や科学技術、外交など3つの側面がすべて当てはまらなくても行う可能性がある」とし「対米交渉を促すのは、今回の核実験の副次的な側面だろう」と述べた。チョン・ウクシク平和ネットワーク代表は「外交ではなく、軍事的側面の方が強いようだ」とし「今回は(対米交渉を促すなど)外部よりも、(核・経済建設)並進路線を内部的に正当化する側面が強いと思われる」と分析した。

 ただし専門家たちは、北朝鮮の意図が何であれ、大統領選挙を控えたうえ、任期最後の年であるオバマ政権が、4回目の核実験を契機に北朝鮮との対話に乗り出す可能性は、極めて低いと口をそろえた。また、北朝鮮の核実験に伴う朝鮮半島情勢の悪化によって、最も大きな打撃を受けるのは韓国であるだけに、朴槿恵政権が今でも6カ国協議の再開など、外交と交渉による北朝鮮核問題の解決策の模索に集中すべきだと助言した。

イ・ジェフン、キム・ジンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2016-01-06 19:38

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/725027.html 訳H.J

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