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代表執筆陣は2人しか公開せず…偏向する国定教科書に懸念広がる

登録:2015-11-05 02:36 修正:2015-11-05 05:53
キム・ジョンベ国史編纂委員会委員長(右)が4日午前、ソウル世宗路の政府ソウル庁舎で歴史教科書編纂方向と計画などについて説明している。左は代表執筆者の一人であるシン・ヒョンシク梨花女子大学名誉教授=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 国史編纂委員会が国定教科書編纂の“顔”とも言える代表執筆陣6人のうち2人だけを公開した状態で、国定教科書の編纂作業が本格的に始動した。代表執筆陣さえ公開するのが困難な状況で、国史編纂員会の日程通り執筆陣約40人の陣容を揃えられるか懸念されている。結局、拙速・偏向した執筆陣の構成になるとの批判も強い。

 キム・ジョンベ国史編纂委員長は4日、政府ソウル庁舎でシン・ヒョンシク梨花女子大学名誉教授と共に「正しい歴史教科書の開発の方向、執筆陣の構成、開発日程の発表」の記者会見を開いた。当初チェ・モンリョン名誉教授も一緒に出る予定だったが、ソウル大学考古美術史学科直系の弟子たちの説得と引き止めで、結局姿を現さなかった。国定教科書執筆参加と関連した歴史学界の世論を窺わせる場面だ。

 政府と国史編纂委員会もこうした雰囲気を意識したかのように、執筆陣の公開と関連し頻繁に前言を翻してきた。「(執筆陣は)執筆に入ると公開する」(キム委員長、10月12日)から「代表執筆陣だけを公開する案を検討する」(ファン・ウヨ副首相、10月27日)に後退し、キム委員長は同日、再び「原稿が終わるまではその方(執筆陣)たちの気が休まるように差し上げる必要がある」として態度を変えた。代表執筆陣さえも全員公開しない可能性があるという意味だ。

 キム委員長は、親日・独裁美化論争を引き起こした教学社の教科書執筆陣の参加についても右往左往した。キム委員長は先月14日、「教学社執筆陣は排除する」と断言したが、4日の記者会見では、「特定の人を名指しして、排除するとか排除しないとか、私はそのような言い方はしません。すべてのことは、公募を通じて応募したら、それに応じて決定します」と述べた。

 国史編纂委員会は全体執筆陣規模を約40人規模で提示したが、代表執筆陣さえ隠すほど劣悪な状況で「左右に偏らないレベルの高い執筆陣」が構成される可能性は極めて低い。国史編纂委員会が4日、ホームページに掲載した執筆陣公募によると、「教授・研究員・現場教員25人」を公募することになっている。少なくとも政府が国定化を公式に発表した先月12日以降の23日間、15人程度しか招聘できていないことになる。国史編纂員会は9日まで公募を受け、13日までに合格者に個別通知を行うと発表したが、9日以内に期待するレベルの執筆陣25人を公募で選ぶのは容易ではないと思われる。

 現行8種の検定教科書の中の一つの代表執筆者を務めたある教授は、「代表執筆者は、実際には『看板娘』に近い」とし「(代表執筆陣より)学界の最新の研究成果をまとめて草案を作成する執筆陣の役割がはるかに重要なのに、それをやろうとする人がいないから、執筆陣の公開どころか構成も容易ではなさそうだ」と懸念を示した。

 同日、国史編纂委員会が「近・現代史部門に政治学、経済学、社会学、軍事学などの非歴史専門の3〜4人を参加させる」と明らかにした部分も懸念を抱かせる。歴史学界と教育界では、これまで「ニューライト性向の政治・経済専門者が右翼偏向された国定教科書を執筆する可能性もある」と指摘してきた。

 国史編纂委員会が公開した開発日程によると、今月末までに編纂基準と執筆細目を確定する。続いて12月から来年11月までの1年間、執筆および審議・検討作業を終えて、12月に監修と現場検収を受ける予定だ。 2017年1〜2月に印刷と配布まで終えれば、その年の3月から国定教科書が中高校の教師と生徒の手に渡る。

チョン・ジョンユン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-11-04 19:34

https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/715975.html 訳H.J

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