日本の戦争責任を鋭く批判してきたNHK放送の看板ドキュメンタリー番組「NHKスペシャル」が、日本の敗戦70周年を迎える今年は、反省の意味を込めた作品を出せずにいる。「慰安婦はどこの国にもいた」という妄言で波紋を呼んだ籾井勝人会長が、安倍政権の修正主義的歴史認識に調子を合わせているためではないかという批判が出ている。
NHKスペシャルは「戦後70年、ニッポンの肖像」という通年企画を放送している。1月1日には「私たちはどう生きてきたか」という内容のプロローグを放送し、今までに天皇制(2回)、経済(2回)、外交(3回)、政治(2回)の主題で10回程度の放送を行った。
しかし、日本の戦争責任を扱ったのは6月19日に放送した「信頼回復への道」ただ一本に過ぎなかった。内容も「1951年サンフランシスコ講和条約を通じて国際社会に復帰した日本が、アジアの多くの国々と積極的に外交を進め、特に韓国とは1965年に韓日基本条約を締結し“漢江(ハンガン)の奇跡”と呼ばれる韓国の経済成長を支援した」として、日本の和解努力を強調する内容だった。
河野談話(1993年)と村山談話(1995年)を通してアジア諸国に対する謝罪と贖罪もしたという内容も付け加えた。 放送が安倍談話の内容として予想される、先の戦争に対する反省▽戦後平和国家として歩んできた日本の旅程▽今後、アジア太平洋地域と世界にどんな方法で貢献して行くのかなどの内容に沿って構成された感じだ。
これに較べて同放送は、韓日強制併合100年を迎えた2010年には日本の朝鮮侵略と植民支配を客観的な視線で扱った「日本と朝鮮半島」という大型企画を放送し話題を集めたことがある。
当時の放送は、第1回では韓日間の歴史認識が最も尖鋭に対抗する伊藤博文と安重根、2回では3・1運動、3回では日本の戦時動員と皇民化政策などを扱った。 翌年には日本がどんな過程を通じて満州事変から第2次大戦まで無謀な戦争に陥ることになったかを分析した「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」という企画で再度関心を集めた。
安倍政権に傾いている現在、NHKの報道姿勢は安保法制などの懸案でも種々の問題を起こしている。 放送は15日に自民党が衆議院特別委員会で安保法案を強行通過させた姿も生中継せず、「それにしてもひどい」という批判を受けたことがある。